2013年12月13日18時44分
■ジャーナリスト・今井一さん
「衆院選の公約に秘密保護法の文字はなかった。だまされた」と嘆く人がいます。そうでしょうか。自民党が昨年4月に公表した「憲法改正草案」に「国民は公益及び公の秩序に反してはならない」とありました。
安倍政権は、本音では憲法を変えたいけれども簡単ではない。それで、国家のために「秘密」を広げていける特定秘密保護法をまず作り、その一部を実現したように感じます。言論・表現の自由の制限につながる危うさをはらんだものです。次に予想される集団的自衛権の解釈変更もその流れでしょう。
私たちは、自民党にフリーハンドを与えた過去2回の選挙を嘆き、3年後に想定される次の選挙を待つことしかできないのでしょうか。
違います。官邸前や日比谷公園にあれだけの人が集まり、世論調査でも反対が多数なのに法律ができた。民意と議会は時にずれる。重大なテーマには市民のエネルギーの受け皿となる、国民投票という直接民主主義が必要です。
近年、イタリアでは原発を稼働させる計画が、スイスでは高速道路料金を値上げする法案がそれぞれ、国民の発議によって葬り去られました。日本にも国民投票制度があれば、国会はこんなむちゃな法律を通さなかったはずです。
秘密法への抗議の意思を示すのと同時に、国民が直接参加する制度づくりに与野党を超えて取り組むよう国会に求めていくことが必要です。
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