【カーリング】カーママ、ソチ王手！初黒星も切り替えて中国撃破だ

中国に敗れた試合後に、スタンドの声援に応える北海道銀行の（手前から）船山、小笠原、小野寺、苫米地（共同）

中国戦でショットを放つ小笠原（共同）

　◆カーリング　ソチ冬季五輪世界最終予選第５日（１４日、ドイツ・フュッセン）　日本女子の北海道銀行は、１次リーグ（Ｌ）最終戦で１０年バンクーバー五輪銅メダルの中国に４―１０で初黒星を喫し、５勝１敗の２位で１５日の五輪代表決定戦に進んだ。６戦全勝で１位通過した中国に勝てば、ソチ五輪出場が決まる。敗れた場合は、最後の五輪出場枠を懸けた３位との決定戦に回る。

　日本の主婦が強さを証明した。１児の母親として戻ってきた２人の「カーママ」小笠原歩と船山弓枝が中心の北海道銀行が、ソチ五輪に王手をかけた。

　五輪代表決定戦の前哨戦となった中国戦は４―１０の大敗。第６エンド終了、わずか１時間４０分でギブアップした。１３日にチェコを破り、５連勝で１次Ｌ突破を決めていたため、チームに悲壮感はない。主将の小笠原も「こんな下手くそでは涙も出ない。恥ずかしい」と自分の頬をたたいておどけた。

　小野寺姓で７位に終わった０６年トリノ五輪後、小笠原は引退した。一般人男性との結婚、出産を経験し、育児が落ち着くと「もう一度、五輪に行きたい」と競技欲がわき、１０年に現役復帰。３年で五輪切符を争う位置に上がってきた。強さの秘けつを「やっぱり、おばちゃんっぽいところかな」と説明。経験としたたかさは、世界の舞台でも揺らぐことはなかった。

　中国には１１月のパシフィックアジア選手権に続いて４連敗だが、小笠原は「またやっちゃいましたねえ。自分たちで崩れていった。まあ、自滅したゲームで…」と笑い飛ばした。途中でギブアップしたのも「明日に切り替えたので。力を温存する、気持ちを切り替える時間（が必要）ということで、試合の途中に…」と無駄を省いた“主婦らしい”切り替え戦術。幼なじみの相棒、船山も大敗を引きずることなく「本番は明日なので。明日に一番いい状態を持っていければいい」とサバサバしていた。

　力の源は、もちろん家族。小笠原は日本から応援に駆けつけた父と妹から、４歳の長男が描いた「パパとママの絵」をもらった。「字が書けないんで、うちの子。私の顔らしいんですけど、どこが顔なのかちょっと分からない（笑い）。ちゃんとホテルの部屋に貼ってありますよ」。大好きな祖母の手紙も同封され「おばあちゃん、仏壇で（勝利を）お祈りしてるんだろうな」と涙もろい一面も見せた。

　予選で２位通過となったことで、中国戦は投石１回分不利となる先攻でのスタートとなったが、「どんなショットも決めるつもりでいく」と必勝態勢。９８年長野から続く女子日本の５大会連続五輪出場を決める。

　◆北海道銀行フォルティウス　元日本代表の元祖「カー娘」小笠原と船山を中心に、北海道銀行の協力で１１年４月に結成した。チーム名はラテン語で「より強く」の意味。拠点は１２年に完成した札幌・どうぎんカーリングスタジアム。日本選手権は１２年４位、１３年２位。９月の日本代表決定戦で、全日本３連覇中の中部電力を破った。