来季の所属先について熟考することを明かした名古屋グランパスMF藤本=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで(宮崎厚志撮影)
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名古屋グランパスのMF藤本淳吾(29)が横浜Mに移籍する可能性が高まった。今季限りで3年契約が満了する藤本は13日、クラブと契約交渉を行い、今季の7000万円から約30%ダウンとなる年俸5000万円の提示に返答を保留。すでに横浜Mから正式オファーを受けており「年内までには決める」と熟考する方針を強調した。 (金額は推定)
愛着ある名古屋か、育った横浜か−。3年間、グランパスの攻撃をけん引してきた技巧派レフティーの流出危機が表面化した。この日、約40分間の交渉を終えた藤本はグランパスのオファーを保留。「時間はあると言えばある。ゆっくり考えたい」と熟考する考えで、「年内には決めたい」と返答期限を設定した。
他クラブからのオファーも待つが、最有力は小・中学校時代に下部組織で研さんを積んだ横浜Mだ。清水から名古屋に移籍した3年前にもオファーを受けており、GK榎本ら旧友も多い。最終節で優勝を逃したものの、2位賞金1億円とともにACL出場権を獲得。FWマルキーニョスの退団が決まるなど、攻撃陣の再編を迫られており、クラブ幹部も「攻撃的な選手はいくらでも欲しい」と明言している。桐光学園の先輩で、35歳となった今季リーグMVPのMF中村の後継者としても期待されている。
一方で、グランパス残留の可能性も十分ある。契約交渉では「来年の構想を聞けた」と、西野新監督からめざすパスサッカーの核として熱烈に残留要請されていることを聞いた。ダウン提示にも、増川、阿部、田中隼の高額ベテラン選手3人が退団したことを踏まえて理解を示し「クラブの状況が状況なんで、その中でも契約したいと言ってもらえたのは選手としてうれしいこと」と話した。夫人と2人の子どもとともに、名古屋での生活環境に不満もない。
次は代理人を通じて横浜Mとの交渉に入る。ただ、両クラブともに台所事情は苦しく、マネーゲームには発展しにくい状況だ。判断基準は、どちらのクラブならより自分が輝けるのか。冷静な男が下す結論に、注目が集まる。
◆小川、10%ダウンを保留
MF小川が4000万円から10%ダウンとなる3600万円を提示され、保留した。今季は33試合9得点と結果を出し、唯一のアップかと思われたがまさかのダウン。「結果を残した時くらい、いい提示がほしい。誰も上がらないんじゃ、これから入ってくる選手にもそういうクラブだと思われる」と力説。昨年は25%ダウンに苦渋の了承をしていただけに、怒りを抑えきれないようだった。
◆楢崎、終身…でも3%減
守護神のGK楢崎は複数年契約中の契約更改で「僕は一生契約がありますから」と、冗談交じりに“終身契約”を強調した。ただ、FW矢野らと同様に複数年契約中ながら約3%の年俸ダウンのお願いを受けた。「いろんな経営の事情があって、この1カ月…いや常々思うのは、夢がない、と。今日の席でもその一言です」と苦笑いした。
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