これは運命だ――。日本代表MF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)の名門ACミラン(イタリア)移籍が決まり、日本中が期待で沸き返っている。本田の親戚であり、レスリングで3大会連続五輪出場の経験があるプロレスラーの本田多聞(50)もそのひとり。ビッグクラブ入りを祝福した多聞は、本田のイタリア行きにまつわる不思議な因縁を披露した。
「W杯を目指して日の丸を背負う人間が、世界のビッグクラブの看板を背負うことになりました。世界からHONDAの名前が聞こえてくるのは、本田の人間にとってうれしく思います」。本田のミラン入りの報を聞いた多聞は開口一番、静かにお祝いの言葉を発した。
多聞は本田の父である司さんと「いとこ」の関係にある。これまで遠く離れた日本から移籍の動向を見守っていたが、ついに実現した名門クラブ入りを手放しで喜んだ。実は、本田一族にとってイタリアは遠い地だった。今から23年前、多聞はイタリアのオスティアで開催されたレスリングの1990年世界選手権出場を目指したが「ローマはグレコローマンスタイルの発祥の地。私も行きたい場所でしたが、国内で負けてしまい、イタリアの世界選手権には出場できませんでした。(本田が)こうしてイタリアに行くというのは、何か運命的なものを感じますね」。
もともと本田が歩み続けた道には「縁」を感じていたという。多聞は83年、当時のソ連(現ロシア)にレスリング留学をしたことがある。まるで多聞の軌跡をたどるかのように、本田もロシア(CSKAモスクワ)でプレー。30年前の過酷な環境の地で過ごした多聞の経験は、本田にも伝えられたという。
しかも多聞が踏めなかったイタリアの地を、ついに圭佑が踏むことになった。「競技は違えど、スポーツマンとしては私より数段上に行きました。スポーツをしている人間としては、非常にうれしいことです。背中のHONDAの文字が(テレビ画面に)長く映ることを期待しています」とミラン、さらに来年6月開幕のブラジルW杯に臨む本田にエールを送る。
多聞も現在、小中学生を相手にレスリング教室を開いている。本田は2020年東京五輪出場に意欲を示しており、7年後は多聞の教え子とともに出場を狙う。
【関連記事】
小倉競輪場で開催された「第55回競輪祭」(GⅠ)は12月1日、決勝を行い、金子貴志(38)が優勝。7月の寛仁親王牌に続き2個目のGⅠタイトルを手にした。