中間貯蔵施設:原発周辺など国有化案…福島に受け入れ要請
毎日新聞 2013年12月14日 20時47分(最終更新 12月15日 00時45分)
東京電力福島第1原発事故の除染で生じた福島県内の汚染土などを最長30年間保管する中間貯蔵施設について、政府は14日、同原発周辺の県内3町の土地計約19平方キロを買い上げて整備する案を地元に示し、建設受け入れを要請した。石原伸晃環境相と根本匠復興相が福島市を訪れ、佐藤雄平知事や地元町長に案を説明した。国有化は、被災者に帰還断念を突きつけることになる。
◇最終処分「県外で」法制化
石原環境相は会談で「中間貯蔵施設は福島の除染と復興を進めるために不可欠」と強調。地元で建設受け入れの環境が整えば、貯蔵開始後30年以内に汚染土を県外で最終処分すると法律で明記する方針を表明した。法制化を国に要望してきた佐藤知事は会談後、報道陣に「法制化の方向性が示され、建設を受け入れるか検討するスタートになった」と前向きに評価した。
計画案によると、施設の面積は大熊町11平方キロ▽双葉町5平方キロ▽楢葉町3平方キロ−−の計約19平方キロ。大熊、双葉両町は福島第1原発を取り囲む太平洋側の南北約9キロ一帯。楢葉町は福島第2原発に隣接する同町波倉地区が候補地。これとは別に、富岡町に対し、既存の管理型処分場の活用を求めた。
3町合わせて地権者は計2000人以上いるとみられる。国有化を進めるには、地元自治体の建設受け入れ表明に加え、地権者との補償交渉がカギとなる。計画案は補償額について、契約時の土地価格で評価する公共事業一般の基準に沿うと明記。原発事故で目減りした土地価格を前提に補償額を算定する方針を示した。地権者の反発も予想されるが、環境省は「目減り分は東電が損害賠償すべきもの」と説明している。具体的な金額は示さなかった。
汚染土などの総発生量は、推計約2200万立方メートル(放射性セシウム濃度10万ベクレル超の約1万立方メートルを含む)。これに対し、中間貯蔵施設は2800万立方メートルを保管できる。環境省は各町議会や住民への説明を進め、2015年1月までに仮置き場から施設への搬入開始を目指す。来年度予算案に土地買収などの費用として約1000億円を計上する。総事業費は約1兆円を見込んでいる。