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【福井】

建設業「名ばかり営業所」排除へ 県が本腰

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 建設業で営業実態が疑われる「名ばかり営業所」を排除しようと、県は本年度から特別調査チームを編成し、抜き打ち調査を実施している。優良な業者を育てる狙いがあり、十一月末現在で十五社に改善指導し、うち一社は入札参加資格を取り下げた。

 県土木管理課によると、名ばかり営業所とは、プレハブなど簡素な建物で、公共工事の電子入札に必要なパソコンやネット環境を備えず、トイレもない事務所。

 常駐の管理責任者がおらず、必要な帳簿類を備えていない場合も該当する。

 いずれも、建設業法上の許可要件または県の入札参加資格として満たすよう求められており、県は土木管理課と各土木事務所、県警OBから成る特別調査チームで四月から抜き打ち調査している。

 十一月末現在、二十四社を調査し、うち十五社に改善を指導した。十五社中、九社は改善を確認。五社は指導が続いており、一社は自ら入札参加資格を取り下げた。電話をかけると他の業者に転送される、営業所に商号を記載した看板がない、契約書や支払関係書類がないといったところを改善指導した。

 県土木管理課は「法令を守らない業者がいると競争が不公平になり、公共工事の品質にも影響する。災害時や降雪時に対応に尽力する優良な業者を育てたい」と話している。

 (西尾述志)

◆真面目な業者にしわ寄せ

 「名ばかり営業所」が増える背景には公共事業費の減少がある。経営が厳しい建設業者が「少しでも入札機会を増やそうと、名ばかり営業所を設ける」(県土木管理課)のだという。

 県発注の公共事業費は、当初予算ベースで一九九六年度の千八十億円をピークに、本年度は66・5%減の三百六十二億円まで減少。県の入札参加資格は経営状態や技術者、建設機械の保有状況などに応じて四ランクあり、ランクごとに入札できる工事が決まっている。このため、例えば上位ランクの業者が名ばかり営業所を設けて下位ランクの入札資格を手に入れるという。

 県建設業協会の上坂義一専務は「価格だけで勝負する入札制度が名ばかり営業所を生む」と指摘する。機械も技術者も持たない名ばかり営業所が入札で思い切った低価格を入れ、落札したら手数料を取り下請けに回す。

 「名ばかり業者が増えると真面目な業者が減り、災害時や降雪時に困る」と上坂専務。緊急時に対応できるのは、恒常的に機械と技術者を抱える業者だからだ。「午前二時からの除雪作業など割に合わない。いわば地域貢献。そういう仕事を引き受ける業者を入札で評価してほしい」と訴える。県土木管理課は「地域防災協定や除雪契約を結んでいる業者を評価する仕組みはある」と話している。

 

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