• 活動報告
  •  『異邦人は迷宮の夢をみる』は更新停止にしようと思います。
     理由は「なにも考えていなかったから」です。

     以下は言い訳です。読みたい人だけ読んで下さい。

     この小説は僕が2013年10月に、いわゆるなろう小説を知って、11月ごろには面白そうなめぼしい小説を読み尽くしてしまったので、11月1日に暇だから自分で書いてみようかなとふいに思い立ち、風呂の中で主人公の出自と母親が殺されて産まれた時から天涯孤独という状況だけ考え、2日にプロローグと2~3話を描き殴って投稿したものでした。

     2日3日経って全然人気が出なかったのでやめよーかなと考えていたら人気がでてきました。
     調子に乗って書きまくりました。
     書きながら設定を考え、ストーリーを考えながら書きました。

     こう書くと、そういう書き方もアリなんじゃないか。
     そのやり方で結局はそれなりに人気が出たのだから。
     と思う人もいるでしょうが、全然駄目でした。

     小説家になろうという、作家同士が切磋琢磨する場だから書きますが、これは失敗だらけの作品です。
     四章で大分いろいろ突っ込まれましたが、当然のことです。

     タイラント暴虐府で狩りをしているシーンを書きながら、これじゃ展開が間延びするなーとか考えつつ、遠征騎士団の設定をその場で考えて、登場させて全滅、そこで変異種と戦うシーンがほしいなーと思って、動機付けのためにプリシラを登場させました。
     全部、書いたその場で考えたことです。全部行き当たりばったりで考えました。
     当然、プリシラが王女だの祝福があるだのというのは全部後付けです。
     四章の展開はそこから派生したものなのですから、上手いこといかないのは当然でした。

     流れのままにタイトルノ王国編を考えているうち、行き詰まりました。
     大方の転生モノはそうだと思うのですが、結末を用意していなかったので、物語の行く末が良くわからなくなったわけです。
     ただただ迷走するだけの物語では、展開に締まりを持たせられず、冗長なだけの話になってしまいます。
     面白くする自信も沸かず、行き詰まりました。
     結局、解決策は見つかりませんでした。

     ここは一つ物語の終着点がはっきりした物語を書いてみよう。
     と思って始めたのが大深度迷宮コンクエストでした。
     異邦人と比べるとちょっと人気は出ていないようですが、僕としても書きたいテーマでもあるので、いつか完結させたいと思っています。


     ***


     作家としての向上を目指しているなろう作家の方もいるかと思うので、書きますが、僕は結局投げ出すような形になってしまいましたが、このやり方も一長一短だと思います。
     研究的な見解を少し書きます。

     異邦人は前述の通り、いろいろと失敗の多かった作品でしたが、それなりに人気は出ました。
     その理由は、刹那的な展開の盛り上がりだと思います。

     物語の始めから終わりまでプロットを仕上げて、テーマも考えて、読者に伝えたいことも考えて、それから作品を仕上げていくというやり方もあります。

     僕も何年か前に小説を幾つか仕上げた際は、同じような手法を取りました。
     僕はこれが処女作というわけではありません。二作ほど長編を仕上げています。
     晒せば駄作と言われ、新人賞に応募すれば二次審査で落とされました。

     そのような手法においては、ときに「途中」を蔑ろにしがちです。
     小説家になろうの人気傾向は控えめに言っても偏りがあると思うので、なろうで人気が出ることがすなわち作家としての力量であるとは思いません。
     ですが、多くのエンタメ作品においては結末の盛り上がりよりも、むしろ経過において節々にピークを作って盛り上げていくことが重要だと思います。

     その細かな展開の盛り上げというのは、少し難しいものがあります。

     例えば、キャラの一人がトラブルを起こして主人公が解決するというイベントを考える。(短期的イベント)
     そのキャラは後に改心して主人公の役に立つ重要キャラにする予定である。
     だが、短期的な展開(ミクロ的な展開)の盛り上げのためにはトラブルを大きなものにする必要がある。
     つまらない軽犯罪やイタズラ程度のものだと盛り上がりに欠けるからである。
     なので、短期的な展開の盛り上がりのために大騒動にする。
     大騒動の結果、そのキャラの罪は公になりなんらかの罰が下る。
     が、長期的展開のためには、そのキャラが社会的に抹殺されるような罰を受けたり、死罪を受けて首をはねられたりすると困る。
     なので色々と言い訳を考えて軽い処分に留める。
     が、その必要を知っているのは作者だけなので、メタ的な必要性からのバイアスがかかった処分になる。
     読者は納得できないので作品を叩いたり、読むのをやめたりする。

     こういったことが起こってしまうわけです。
     作家はその辺りをよくよく考えながら、短期的にも中期的にも長期的にも面白い展開を考えていく必要があるようです。

     最終的な展開と経過における細かな盛り上げを両立させつつマクロとミクロの視点を両立させて作品作りをするのは、かなり神経がいるようです。

     マクロ的な面白さを過信し、
    「最後まで読んでくれれば必ず感動する。そういう結末は用意してある」
     と考えてミクロ的な面白さを蔑ろにするのは、作家の甘えです。
     エンタメ作品においてはそういった作品は評価されません。

     異邦人はミクロ的な展開の盛り上がりを行き当たりばったりに連続することでちょっとした人気を得ることに成功したようです。
     また、長期的な見通しが存在しなかったために、短期的展開に不自然さを介在させる必要性が存在しなかったので、展開が長期的展開に拘束されることのない自然なものとなり、読者に受け入れられたようです。

     ですが作家にそれを続ける能力がなく、またそれを続けるバイタリティもなく、よく考えてなかったので信念もあるわけがなかったので、消沈してしまったようです。

     マクロ的だのミクロ的だのイベントだのとシステマチックな話になりましたが、そんなことを意識するまでもなく必要性を自然な形で理解して面白い作品づくりに繋げていける、というのが作家としての理想型なのかもしれません。

     という自省をこめた分析でした。


     ***


     異邦人の方はとりあえず更新停止にしようと思います。
     あとで全面改稿の後連載再開するかもしれませんが、わかりません。

    「いみじくも作家の端くれを自称するのなら、まずは完結させたまえ。嫌なら作家をやめろ。それが君のためだ」

     みたいな意見もあるかもしれませんが、勘弁してください。
     僕がプロ作家になる日がきたらその批判は受け入れたいと思います。

     読者様の応援を蔑ろにしてしまうような形になってしまい、大変申し訳なく思いますが、よろしくお願いします。

     そのうち異邦人の設定を一部流用した作品を書くかもしれません。
  • 2013年 11月27日 (水) 18時57分

コメント

報告を読んで残念に思います。雰囲気もダークファンタジーとして十分で楽しみにしていましたが、作者さんの意に添わなければいたしかた無しですね
ミクロもマクロも自分には良いバランスが取れていたと思います。

いつかの復活を心より願っております、まずはお疲れ様でございました!
蝉丸P  [ 2013年 12月14日 (土) 00時44分 ]
プロローグとエピローグ書いて後は刹那的に書いていけばいいんじゃないですかね?(適当)
JP  [ 2013年 12月11日 (水) 19時47分 ]
更新停止は残念ですが、理由にも深く納得しました。
ただ、私は文章それ自体やキャラが魅力的だった場合はマクロミクロイベント関係なく好きになります。主人公が少々の矛盾を差っ引いても魅力的でした。
次の小説も楽しく読ませていただきます。
シロネコ  [ 2013年 12月10日 (火) 03時29分 ]
コンクエが最高に好みです。
異邦人は確かにヌルイところがありましたね。
ドエグい展開を待ってます。

(私的観点に基づきます)
山口  [ 2013年 12月06日 (金) 20時20分 ]
ちょいちょい更新がなくなったのとか整理してるけど、どっちもまだ残ってるよ


何が言いたいのかというと、面白かったってことかな
雨乃 時雨  [ 2013年 12月05日 (木) 20時08分 ]
趣味で自己表現する範囲なら記事にある捉え方で十分ですけど、
前提が色々まちがってるから分析が頓珍漢なことになってますよ。

人生にプロットなんかないでしょ。行き当たりばったりですよ。
プロットがあればシナリオの整合性はとれるでしょうが、
そんな方法で人や気持ちを描く技術が上達するわけないです。

異邦人は十分に面白いです。そこだけはフォローしておきます。
ftg  [ 2013年 12月04日 (水) 03時05分 ]
おれが読んでた理由はタグと題名と読みやすさに惹かれたからだがな…




優しい読者に感謝しな!←何様
だいひ  [ 2013年 12月02日 (月) 19時40分 ]
更新停止ですか。残念です。
もちろん褒められたことではないかもしれませんが、はっきりと止めますといわれたほうが私個人としては踏ん切りがつきますから助かります。
楽しませてもらいました。
sayself  [ 2013年 11月30日 (土) 14時57分 ]
 私は面白かったので、もっと書いて欲しかったです。

 私の予想でしたが、ロシュは迷宮のため滅びた国を再建するのかと思っていました。
 作品を創造するのは大変です。読むのは簡単ですけど。

 折れた創造の翼が復活することを願っています。
@SHINO  [ 2013年 11月29日 (金) 17時04分 ]
突発的にキャラクターの感情が暴走するところとか、唐突すぎてドン引きになってる読者さんも多かったですけど実際パワーと勢いがあって面白かったです。更新停止は残念ですが、仰ってる理由もよーくわかりますので仕方ないですよね。

ミクロを疎かにすると読者がついてこない、マクロを疎かにすると詰む。単純な話なので過去からさんざん言われてることではあるんでしょうが、なろうはその実例が数えきれないほどありますから、超リアルに実感できますねー。
敷居  [ 2013年 11月29日 (金) 11時22分 ]
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