――そういうことを言う人たちに、なんと言いたいですか?
「『同じ生活をして、体験してから言ってよ。同じ苦しさを体験してから言ってください。外に出て、現実を見てみなよ』と言いたいです。結局そういう人たちは、世の中のいろいろを、自分の五感を通して見ていないんですよね。これは、自民党などの生活保護改悪賛成派に対しても思うことなんですけど」
――平田さんは、今の政治をどう思っていらっしゃいますか?
「今の政治家のやってることって、異星人、宇宙人のようなことばかりだと思います。人としての皮膚感覚や体温、感情のないことばかりやっています。それだけ、政治に関わる人達が、想像力、現実を見る能力を失っているんだと思います。当事者感覚がありません」
――当事者感覚がないのは、当事者でない以上は仕方ないのではないかとも思います。ただ、想像を及ぼす努力を続けるのとそうではないのでは、想像は想像でしかないとしても、全く異なると思いますが。
「今の日本の政治家は、人間としてアウトだと思います。冷酷で。でも、『生活保護バッシング、生活保護改悪で、自分たちの知名度を上げようとしているのかな?』とも思います。焦っているのかもしれませんね。その焦りで、自分たちの政治家生命の寿命を縮めているようなものです。だって、切り捨てられて苦しんでいる人たちが大多数なんですから」
――「遠くない将来のいつか、覆されるのでは」という焦りがあるからこそ、政府と自民党は、さまざまな政治的な動きを急いでいるのかもしれませんね。ありがとうございました。
静かな町で、生活保護制度のもと自分自身を大切にして生活を続けてきた平田さんは、現在、心身ともに健康状態を回復させつつある。今は、将来のビジョンを描きつつ、そこに向けての日々の無理のない努力を積み上げている状態だ。就労を唯一の「自立」とする見方に強く反発する平田さんは、就労したくないと考えているわけではない。しかし、地方の少ない就労機会に無理やり自分を押し込むのではなく、「日本で生活保護を受け続ける」ではない将来の自分の可能性のために、毎日、一歩一歩、地道に歩み続けている。
次回は、2013年2月以来の1年近くにわたり、厚生労働省が生活保護基準引き下げの根拠とした「生活扶助相当CPI」を追い続けてきた一人の新聞記者を紹介する。「生活扶助相当CPI」の問題は何なのだろうか? そして、何が彼を突き動かし続けているのだろうか?
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本連載に大幅な加筆を加えて再編集した書籍『生活保護リアル』(日本評論社)が、7月5日より、全国の書店で好評発売中です。
11月15日、Kindle版も発売されました。
本田由紀氏推薦文
「この本が差し出す様々な『リアル』は、生活保護への憎悪という濃霧を吹き払う一陣の風となるだろう」