Photo by Y.M.
――食費は1ヵ月3600円でも、ですね?
「食については外食はしないし、外食はしなければしないで不満は感じません。出かけるときは麦茶などをポットに入れて持って行ったり、おにぎりを作って持って行ったりしています。映画に行くときも」
――私が子どもだった40年前だと、デパートでウインドウショッピングをするのにお弁当を持って行って休憩用のベンチで食べる方をときどき見かけました。だから、私はそういうライフスタイルに抵抗は感じません。
「でも私、映画を観て『パンフレットがほしい』と思ったら、買いますよ。買わなくていいと思ったら、もちろん、買いませんけど」
――映画のパンフレットって、最低でも600円はしますよね。高いと1000円くらい。
「ええ。でも、自分にとって必要だと思ったら、買います。映画を見ることそのものについては、前売り券、モーニングショウ、レイトショウ、レディースデーなど、安く見られる機会をフル活用していますけど」
生活保護費の用途は、原則として自由である。このことは、2004年3月の最高裁判決(学資保険訴訟)によって確認されている。
負傷・疾病により就労が不可能で生活保護を利用していた両親が、子どもたちのために学資保険を積み立てていたところ、子どもが高校に進学する折に満期で支払われた保険金が収入とみなされ、一家は保護費を減額された。このため夫・子どもたちが提訴し(妻は提訴前に病死)、14年間にわたって訴訟を続行した。この結果として得られた高裁判決(後に最高裁判決として確定)は、
「憲法25条の生存権保障の目的である人間の尊厳にふさわしい生活を送るためには、被保護者が自らの生き方や生活を自ら決する必要があり、いったん支給された保護費の使途は、原則として自由である」
とした。
「では、パチンコや飲酒はどうなのか」という意見もあるであろう。筆者は「試行錯誤の自由、失敗する自由も含めての自由」であり、「パチンコ狂いで飲んだくれであるとしても、生きていること自体に人間の尊厳が伴う」と考えている。「自由とは何か」「人間の尊厳とは何か」という問題については、生活保護というテーマを切り口として、引き続き考えて行きたい。
生活保護世帯の家計は
なぜ監視対象に?
――とはいえ、生活保護当事者の方々の中には、家計のやりくりが上手ではない方、やりくりをするという感覚がない方もいらっしゃいます。かくいう私も、決して上手な方ではありませんけれども。生活保護世帯の方々に対しては、「すべての買い物のレシート提出を義務付けろ」「家計簿の記入と提出を義務付けろ」という意見が、ネットを中心に数多く見られます。私はどうも、生活保護世帯の方々に対してだけそういうことを「義務付けろ」という暴論にはついていけません。
「私、そういうことを言う方々の考え方がわかりません。私は、おかしなお金の使い方はしませんし、お金のないときの過ごし方も常々考えています。だから、そういう方々には『あなたが、家計簿をつけてください』『あなたが、レシートを貯めて集めて提出してください』と言いたいです。『あなたがたは、できるんですか?』と」