ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
生活保護のリアル みわよしこ
【政策ウォッチ編・第51回】 2013年12月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
みわよしこ [フリーランス・ライター]

「リアル」を知らない政治家に動かされてよいのか?
食費1ヵ月3600円の当事者が語る「生活保護リアル」
――政策ウォッチ編・第51回

previous page
3
nextpage

――それでも、バリエーションが欲しくなったりはしませんか? 私もカレーが大好きなんですけど、「毎食毎食カレーライス」が何日も続くのは、ちょっとガマンできないかもしれません。

 「あ、そこは考えています。安売りの魚を冷凍しておいて焼いたり。電子レンジで大豆とひじきの煮物を作ったり。その煮物をご飯に混ぜて、ひじきごはん風にすることもありますね。安く売られているレンコンの水煮を洗って、きんぴらにしたり。でも私は、他に牛乳・ヨーグルト・納豆があれば、食生活にそれほど不満は感じないです」

――確かに、栄養的には特に問題のなさそうな食生活ですね。

 「まだ、工夫できますよ。今は、冷凍庫をもっと活用しようと思ってるんです。安い豚ひき肉や豚小間を買ってきて、大・中・小に小分けしてフリージングしたり。あとは、買いだめですね。今でも、パスタが安い時に買いだめしたりします。300gで50円のときに」

――もしかすると、小麦粉より安いくらいですね。

月に1本は映画を必ず観る
「自分の中の文化を絶やさない」努力

――でも、「食費を削るのはなるべく後回しにしたい」という気持ちが、私にはあります。生きることの根源に近いのが食ですから。私は、困窮していったとき、着るものから先に節約しました。平田さんは、何を優先するために食費を節約しているんですか?

 「自分の中の文化を、絶やさないためです。自分の興味が向かうこと、関心のあることに対する投資は、絶やしてはいけないと思うんです。限られたお金の中で、惜しまないようにしようと」

――平田さんの「文化」とは、具体的にはどのようなものですか?

 「映画は、月に1本は必ず観ることにしています。それから9月、大好きなミュージシャンの20年ぶりのライブのために、5000円のチケットを買いました。ライブは、少し離れた大都市で行われるので、交通費もかかりました。9月は、やりくりがかなり大変でしたね(笑)」

――私は、そういうふうに、ご自分の大切にしたいもの、ご自分の守りたいもののために工夫して保護費をお使いになるのは、素晴らしいことだと思います。その人が生きる力を発揮するための基本ですから。でも……。

 「わかります。『生活保護なのに』と言われる方も、たくさんいることは知っています。でも私は、8月から1ヵ月あたり400円が減らされたことで、逆に『自分の中の文化を絶やさない』と強く決意しました」

previous page
3
nextpage
Special topics
ダイヤモンド・オンライン 関連記事


DOLSpecial

underline

話題の記事

みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、2匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル みわよしこ

急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

「生活保護のリアル みわよしこ」

⇒バックナンバー一覧