序章〜姉弟〜

 United Kingdom・Bar_ILLUSION:3:00NOON

 キィィ………カチャン……

 グラスを磨く手をふと止め、彼女は首を巡らせた。
 奥の方で、扉の音がした───泥棒───のはずもない。いくら治安が良くないといっても、誰もが休んでいる午後のこの時間に悪事を働くような勤勉な人間はこの古ぼけた島国にはさほどいないはずだった。

 キシッ…

 しかし、それでも彼女は再び首を捻った。こんな時間にドアが開くのは、あの子が帰ってきた以外には考えられない。耳に伝わる感覚からは、ひどく軽量の者だけが立てるハッキリとしたそれが感じられるからだ。だが、なぜ音を忍ばせているのか、それが判らない。鍛え上げられているが故に住居とやや隔てられていてもハッキリと感じ取れる気配と音が、彼女の心にさざ波を立てていく。

 コトン───分厚いグラスの底がオーク材のカウンターに置かれる心地よい響きを後にして、彼女は身を翻した。

『ジャン……どうしたんだろう』

 ジャン───それが帰ってきたはずの子の名だった。重度の難病を煩い、その絶望の淵から還ってきた彼女の最愛の弟。
 彼女の長からぬ今迄の人生、その半分はかくいう弟の為に存在していた。その為に彼女は名を捨てた。生まれも、育ちも、いや、女である事すら捨てて今迄生き抜いてきた。全てはあの子、弟であるジャンを助ける為だけに。

 …っ…っ…

 極一般的なバーテンダーの服装が似合いすぎる程に似合っている姿が滑るように屋内を移動していた。だが奇妙な違和感があった。そう、音が無いのだ。彼女の周りには。
 彼女は普段、歩いても足音を立てる事がなかった。しかもそれと意識しない限りは気配すら薄かった。なぜなら、弟を救うために暴力の街でその身を立て、その人ありと評された程の、殺しと薬以外のあらゆる行動を暴力で律してきたファイターとしての過去を持っていたからだった。

『しかし、一体どうしたっていうんだ…?』

 友人と喧嘩でもしたのだろうか。それとも、友人そのものができていないのか。弟がミドルスクールに行きだしてから一週間が経っていた───
 だがそこまで思いを巡らせた所で、彼女の目に、背を丸めて悄然と歩く弟の姿が目に入った。彼女は心の中だけで溜息を吐くと、努めて明るい声を出そうと喉を湿らせた。

「おかえりジャン!帰ってきたんならただいまって言いなって何度言ったら……」

 姉がせめて元気づけようかと、驚かせる目的もあって気配を消した状態からいきなり声をかけると、振り向いた弟は心臓が止まるかのような驚きの表情を凍り付かせた。そして、その表情に同時に驚いた彼女から逃げるように、一気に自分の部屋へと駆け上がっていく。

 ダダダダッッッッ!!

「え………?」

 予想外の反応に、驚愕の表情のままで彼女は立ち尽くした。もちろんすぐに追うのは容易かった。だが、駆け上がっていくその姿と、直前の表情がそれを思い止まらせていた。
 彼女の弟は、やりきれない惨めさに染まった泣き顔をしながら、あちこちが破けている制服を抱き締めていたのだ。

 ごくっ。

 彼女は息を呑み、そして大きく吐き出した。友人ができるできないの次元ではなさそうな事態が弟に降り掛かっているのだろうという考えが胸の痛みとなって襲いかかってくる───だが、ジャンを助けなればならない。私が。そう私だけが。

 キシッ。

 階上で扉が音を立てて閉まってから数拍おいて、彼女は今度は足音を立てながらゆっくりと階段を昇っていった。そして、その扉の前に立つと、一旦深呼吸をする。

「開けても……いいかい?」

 彼女は、いじめられたのであろう───それ以外の判断のしようがない───最愛の弟を傷つけないように優しく声をかけた。そして、闘いとはまるで異なる、身を裂かれるような緊張感に包まれながら中からの応えを待った。

「……………」

 だが返ってきたのは沈黙だった。だから想像通りの反応にやりきれなさを感じながら彼女はもう一度声をかけなければならなかった。そしてそれに苛立ちと焦りがのっていたのかもしれない。扉の中でビクリとした怯えの気配が走り、そしてか細い承諾の声が返ってきた。

「開けるよ」

 キィィッ……

 ゆっくりと開いていく扉の正面に、蹲る少年を受け止めているベッドが姿を見せた。彼女はベッドに顔を埋めてシーツを握りしめ身を丸くしている弟と、バラバラに放り出された靴を哀しげに見やると、そのまま静かにベッドへと歩を進めていく。

「どうしたんだい……?お姉ちゃんに……話してくれないのかい…?」

 触れた肩は小刻みに震えていた。彼女はベッドに腰をかけると、そんな弟の背中を丁寧にさすってやる。

「………」

 数分が過ぎ、ようやく顔を上げた弟の目は、真っ赤に腫れ上がって痛々しい程だった。

「おねえ……ちゃ……」

 捨てられた仔犬のような瞳で見上げてくる弟を涙腺を引き締めた瞳で見つめながら、彼女は殴られている訳ではないのを確認して安堵しつつも、そこに肉体的ではない傷が残っている様をまざまざと見て取った。
 怒りとあきらめと虚しさとが彼女の心を通り過ぎる───つまりはそういう事だった。

「女みたいだって、なよなよして、気持ちわるいって……みんな……が……」

 全身からようやく絞り出したような、悲痛な呟き───確かにジャンの外見は女の子のようだった。姉譲りの美貌を、少年特有の危うい線の細さが強調したまるで人形のような顔。短く揃えてはあるが、清潔さと豪奢さを同時に感じさせる見事なプラチナブロンド。なによりも、スクールウェアである半袖半ズボンによって剥き出しになっている腕と脚は同年代の女の子以上に華奢そのもので、しかもモデルでも持ち合わせる事ができない、病的なまでに真っ白な素肌を曝しているのだ。
 もちろんその華奢な肉体も、肌の色も、難病によってつい数ヶ月前まで寝たきりだった事を考えれば当然であるのだが、そんな事は本人にとってはトラウマ以外の何物でもなかった。さらにはそれを軸にして自己正当化を図れるほど大人でも無かった。

「うっ…うぁっ……あっ……うぅっ……ひっ……」

 あちこちが裂け、ボタンの半分はもげかけている服を抱き締めるようにジャンは震えながら嗚咽を漏らし続ける。彼女はそんな弟を抱き寄せ、その髪を優しく撫でつけながら頭に頬ずりをした。

「もう、大丈夫だよ……ここにはお姉ちゃんがいるよ……」

 どうしようもないか───彼女は嘆息し、そして天を仰いだ。しばらくこうして置くしかないだろう。どれほどのコトをされたのかは判らないが、それでも弟の受けた傷の深さだけは痛い程に感じられるのだから。

「うああああっっっっ!あああああっっっっっ!!」

 堰を切ったような叫びだった。ジャンは抱擁してくれる姉の腰に強く抱きつき、その胸に顔を押し付けたままで激しく慟哭しはじめた。しゃくりあげる震えと慟哭の響き、そして止めどなく溢れてシャツを通して浸みてくる涙の感触に、彼女の視界が歪み、口を曲げていなければ耐えられない疼きが鼻筋を突き抜けていく。

「うっ……ひっ……くっ…んっ…ぁっ……ひっ…!!」

 しばらくそのままの時間が過ぎた。
 背を叩き、背をさすり、最後の一滴まで、涸れるまでそうしているかのように二人はそのままだった。

「どうだい?……少しはすっきりしたかい…?」

 彼女はようやく泣きやんだ子をあやすように髪を梳き、胸からゆっくりとその頭を引き剥がすと、ゆっくりと額や頬にキスを降らせながら弟の顔を見つめた。そして最後に泣き腫らした瞼に愛おしげに口付けると、手を貸してきちんと坐らせ、自分はベッド脇にしゃがみ込んでその顔に目線を合わせた。

「…えへ…」

 激情が去って途端に恥ずかしくなったのか、ジャンの顔が微妙に恥じらいに歪んだ形で微笑んだ。白い頬が薄紅に染まり、はにかんだ調子の呟きが漏れる。
 彼女はそんな弟に満足げな微笑みを見せると、もういいだろうと腰を上げた。

「それじゃ、お姉ちゃんは仕事の準備するからね。ジャンも、着替えてから下へ降りて───」

 だが、そう言いかけた彼女は、ふと見下ろしたジャンのズボンのボタンが完全にもげているのをみつけ、一瞬息を詰まらせた。

「その……ズボン……?」

 穏やかになっていたジャンの表情が、その一言で一気に恐怖に引きつった。
 しかも可能な限りの早さでその部分を押さえると、首がねじ切れるような強さで首を横に振り、叫ぶように否定の声を上げる。

「いいんだ!違うんだよお姉ちゃん!何でもない、何でもないんだ!」

 弟の必死なまでの否定に、彼女の心が大きく揺さぶられていた。落ち着かせただけで諦めようとしていた気持ちに、いたたまれない程の焦燥と、憎悪にも似た激情が混じり合いはじめる。

「だって、お前……!」
「ず、ズボンを下ろされただけだから……パンツは……大丈夫…だったん…だ……だ、だから、だから僕なんともないんだ!ね、お姉ちゃん、ほんと、ほんとなんだってば!

 聞かれてもいないのに、ジャンはその顛末を口走っていた。先ほどとは違う、何かをかばうように、何かを守ろうとするような激しさだった。

「ジャン…お前…」

 目の前で張られる虚勢の強さに彼女はハッと気付かされた。泣きはらし、自分を抱き締めてまで耐えていたのは、きっとこの事だったのだろうと。男として、最後の一線までは剥かれなかったにしろ、免疫のない状態で裸にされればどれ程の恥辱となるか。
 これはトラウマになる。そういう思いが、彼女の心に沸き上がり───突然、あの日の、あの時の事が脳裏に甦った。自分が最後の一片までも完全に捨てる事となったあの瞬間を。心の奥に封印していた記憶と感情。誰にも話していない、自分以外では一人しかその事実を知らない、彼女の半生の裏側を縛るなによりも重い鎖を。

「っ……ぁっ……ひっ……っ」

 痛みに立ち向かい、目の前で震えている愛らしい弟。絶望を憎しみと怒りに変えた自分とは違う道を辿るであろう、か弱い少年。
 思い出してしまったが故に、その想いは加速していく。よりましな思い出を。傷になるよりも前に。そして、それが自分にはできるはずなのだと。

 きしっ。

 心を一旦決めてしまえば行動は迅速だった。弟の前にいる限り、彼女は父であり母であり姉であり、そしてなによりも女でもあったから。

「ジャン…」

 熱い吐息が唇から漏れ溢れる。そして、先ほどとは全く違う色に濡れた瞳がうっとりと細まりながら弟の瞳を射抜いていく。

「なんだ、見せてやればよかったじゃないか。そうすれば、誰もお前が女だなんて絶対に二度と口になんかできなかったろうに」
「え……?お、お姉ちゃん…?」

 弟の声と瞳にいままでとは全く別の驚きと恐怖の色が浮かんだのに気付きながら、彼女は「姉」ではない顔を見せ付けるように言葉を継いでいく。

「お姉ちゃんが何にも知らないとでも思ってるのかい?」

 熱い声だった。粘つきすら感じられる女の声。それが、無意識に舐めた舌の痕が艶めかしく煌めいている、最近ふっくらとしてきた唇からこぼれるように発せられていた。

「いっつも見ていたろう?お姉ちゃんがバスルームに入ると、いっつも覗いてただろ?」

 再び彼女はベッド脇に跪いていた。仰け反り、後ろへ退がろうとする弟を追うようにしてベッドに手をつき、その顔を近づけていく。

「………ひっ!」

 声にならない叫びがジャンの喉から迸った。目は大きく見開かれ、口をパクパクと開け閉めして恐怖の相を露わにする。

「ジャン。お姉ちゃんは怒ってるんじゃないんだよ。いつも言ってるだろ?もっと自分に自信を持ちなって…」

 確かに彼女の顔は怒ってなどいなかった。見たことのない、熱くて蕩けそうな甘い表情をしていた。彼の知らない、胸の奥が高鳴り、そして腰の真ん中が熱く疼く顔をしていた。だがそれだけに理解はできなかった。自分が、姉が、一体どうなってしまったのか混乱するだけだった。

「バスルームの外で、いつも何してたんだい……お姉ちゃんの裸を覗きながら、ジャンは何をしていたんだい……?」

 顔が真っ赤に染まり、そして泣き顔に歪んだ。もうジャンには状況の把握はまったくできなかった。隠していた秘密を突然暴かれた恐慌状態に陥り、脈絡のない展開で喋っている姉の言葉など耳には入らない。

「ああ…ああっ!…ご、ごめんなさいっ!お姉ちゃん、お姉ちゃんごめんなさいっっっ!!!」
「あやまらないでいいよ、ジャン。いつも、ジャンは言ってくれるじゃないか。お姉ちゃんは強い。お姉ちゃんは凄いって。お前はこのお姉ちゃんの弟なんだよ。だったらジャンだって強いし、凄いんだよ」
「そんなのウソだよ!僕なんか、僕なんか弱いしっ…なにっ…何もできないしっ…!!」

 既にスクールでの事など消し飛んで、いまや目の前の姉に対する恐怖と驚きと違和感に対して引っかかるようにどもりながら、ジャンは荒波に翻弄される小舟のように荒れ狂う胸の裡を言葉にして姉にぶつけようとした。
 目の前の姉が何か違う生き物に見えてくる。甘く、重く、触れると溶け合ってしまいそうに柔らかい、何か別の生き物が自分を慰めるように包み込んでくるような感覚が皮膚をチリチリと灼いてくるのだ。

「みてごらん…ほら、ジャンの男の子が顔を出したがってるよ」

 ジャンの顔が凍り付いた。自分が何をされているのか、姉が何をしているのかがまるで認識できない。
 完全に硬直してしまった弟を尻目に、彼女はさらにその身を乗り出して完全にベッドの上へと登っていた。そしてそのまま身体を弟の脇に入れると、ボタンのちぎれたズボンのチャックをジ、ジと下ろしていく。

「ほら、もうこんなに……ふふ、凄いじゃないか、ジャン。こんなに、凄いんだよ、ジャンの男の子はさ……こんなに凄いのは、そうはいないよ……」
「ぅあ……わ……ぁぁ……い……ひっ…」

 ジャンの半ズボンの前が完全に割り開かれ、その下に隠されていたブリーフが露わになった。その純白の布の前は既に中の肉に大きく盛り上げられ、しかも胴を締めつけるゴムの部分をゆうゆうと持ち上げながら、生々しい程にピンク色の肉が顔を見せようとしていた。

「はぁ……どうだい?ジャン……どう?」

 硬直し、引きつったままで啜り泣くジャンに優しく言葉をかけながら、その白い指が膨れ上がったブリーフの上を何度も何度も撫で、擦っていく。

「ふふ、どんどん大きくなってくじゃないか。ほら、こんなに立派に……ぁぁ……凄いよ、ジャン。もうこんなに男の子なんだね……」
「いやだよ…そんな……こんな、おっきくて…恥ずかしいだけだよ……僕だけ……こんな…ひっ……うあぁぁぁっ……っっぁひっっ……」

 これくらいの少年にとって、それは良くあるコンプレックスだった。だが、彼女はそれを微笑みながら聞くと、さらに笑みを深くして熱く囁く。

「ジャンには判らないんだね……じゃ、お姉ちゃんが教えて上げる。ジャンのこれが、どんなに凄くて、どんなに羨ましいものなのか、きちんと教えてあげるよ」

 既に半ばまでその身を曝しているペニスを指先で軽くつつきながら、彼女は踵だけで靴を脱ぎ捨てて四つん這いの格好で下半身を引き寄せた。

「大っきいだろう、ジャンの。これがおっきいのは、強い男の証明なんだよ…」

 掠れた声が、ジャンの耳元でゆっくりと噛み締めるように囁いた。だが、その瞳は潤みながらも冷たい光を放っている。思ってもいない、己の価値観の中に存在しない言葉を紡ぐ詐欺師のように。己すら騙そうとする説教師のように。
 だが彼女には、それでも弟を助ける為には一つの「何か」を与えなければならないのが判っていた。そして、その何かを、今の彼女はそれにしか求められなかったのだ。

 しゅ……す……

 冷静に気付けば、布越しに踊る指先が僅かに震えているのが見て取れたかもしれない。まだ少女と呼ばれる身で幼い弟を助けなければならなかった彼女の持つ、仕事としてそれを選ぶには色に薄く、そしてプライドが高すぎたが故に道を違えた、無いわけではないが、さほどあるわけでもないという経験。今の彼女はそれを思い出しながら、弟を愛そうとしていた。

おっきいのが…ぁっ…強い…っ…の…っ…?!

 涙に濡れた顔で、ジャンのか細い呟きが漏れた。

「ああ、そうだよ。女には持てない、男だけの武器さ。どんな男でもね、ここがおっきいヤツには負けたって思うもんなんだよ。ジャンは、もうこんなにおっきいじゃないか。大人なんかより、ずっと大きい、凄い男なんだよ」

 男の、いや、オスの心を直接くすぐる殺し文句であった。それが証拠に見る見るうちにブリーフを押しのけて見事に反り返った8インチに達する肉の棒にいったん目をやってから、彼女は満足げに弟に微笑みかけた。
 褒める気持ちは本物だった。雄々しく、逞しく反り返り、珠のような汁を盛り上がらせている男の徴を持つ弟を何よりも愛おしく思う程に、いつしかそれそのものにも熱く、堪らない感情を抱いていく。

「ほ、ほんと……に?」
「ああ……ホントさ……ジャン……逞しくて……いい男だよ……」

 ぬるっ……にゅるっ……

「ひっ…!……ああ、ぅああっ……」

 指先が絡みつき、サオを包み込んだだけでジャンの情けない喘ぎが迸った。

「お姉ちゃんの肉体見て、我慢できなかったんだろう?だから、外でこれを、ね?そうだろう?」
「ひっ……あっ、ちが…ああっ!」
「嘘つくのはダメだよ、ジャン…ホントの事言って。ね?」
「ああっ!そ、そう……ですっ…!ぼく、ぼく、お姉ちゃんの裸覗いて、なんか、我慢できなくなって、いつも、いつもこれ弄って……!!」

 涙を流しながらの懺悔だった。ジャンの顔は溢れるもので濡れ、そして惨めな程に歪んでいた。
 彼女は弟の瞳から跡を引いて流れる涙を舌で舐め取りながら愛おしそうに両手で顔を包み込むと、キスの雨を降らせた。

「ふふ、じゃ、やっぱりもう男の子なんじゃないか。なら、いいよね。判るよね…ふふ…教えてあげる……ジャンが、本物の男の子になるの、教えてあげるよ……」

 しゅさ……とすっ…

「お姉ちゃん……ん……は…綺麗……きれ……い……」

 全ての衣服を落とすと、彼女は弟の目の前にその裸身をありのままでさらした。鍛えられた肉体に、うっすらと女の肉が付いた女神のような肢体がそこにあった。細くてしなやかな四肢とたわわに張り出した乳房、引き締まったお腹と高い位置で大きくせり出す尻。それがジャンの目の前にある、姉の生まれたままの姿だった。

「ほら、次はジャンの番だよ……」

 彼女は恥ずかしがる弟の服を、囁き、頬ずり、キスをしながら一枚一枚脱がせていった。最後のブリーフが足首から抜け、反り返ったペニスがその反動で大きく揺れると、ジャンはその肉棒を隠すように両手を交差させて身を捩り、目を閉じた。

「……ね、ジャン、教えて…あげる」

 んむ……

「ん……んふぅ……んむぅ…」

 姉は弟の唇に自分の唇を合わせ、そしてゆっくりと貪っていた。
 ジャンにとって、初めてのキスは檸檬の味がした。甘く、せつない匂いと一緒に、柔らかく、熱い舌が優しく口の中を掻き回してくる。

「ん……はぁ……んんぅぅ……む……」

 非の打ち所のない無欠の存在。強くそして美しい姉は、憧憬と尊敬の対象であったが故に、少年にとって絶対的なシンボルだった。だからこそそれが病院から家庭へと移動し、生活臭と結びついた時、覗きそして自慰という虚しい悦びを惹き起こしたのだった。
 自慰しか知らない少年にとって、姉以上の美しさを認識できない少年にとって、今、自分が巻き込まれている状況は、夢にすら見ることのできない、本物の夢だった。

「……さ、……手で、したげようか?それとも、お口がいいかい?」

 悪戯っぽい口調で、彼女はキスの味に呆けた弟に呟いた。

「はぁぅ……おねえ…ちゃんの……お……口…………はぁ……」

 呼吸をあらげ、陶然としていたジャンの口から、反射的にそれが吐いて出た。
 むろん、それはキスの事だった。だが、彼女はそう聞かなかった。

「いやらしいね、ジャンは」

 含み笑いを残して、彼女の肉体がずり下がった。

「え?え?お、お姉ちゃん?!」

 熱い吐息をペニスに感じた瞬間、ジャンは跳ね起きるようにして自分の下半身を見つめた。そこには、醜い程に膨らみ、そそり勃ったペニスにゆっくりと顔を近づけている姉の姿があった。

「お口がいいんだろう?お姉ちゃんが思ってるより、ずっと男の子だったなんて……嬉しいよ、ジャン…」

 そこは、汗と泥と、そして濃い精のニオイが充満していた。彼女はその少年の熱いニオイを胸いっぱいに吸い込むと、鉄のように固く反り返る弟の性器の根本を持ち、そして舌をつけた。

「そ、そんな!おねえちゃん!……き、汚いよ…そんなこと……っ!あああっっっ!」
「汚くないさ…ジャンのだよ?ジャンのおチンチンが、私にとって汚いわけないじゃないか……」
「ひっ…ぅあああっっ!…すご、あぅううっっ!!ひぃぃっっっ!!」

 舌先を擦りつけ、血管が太く脈打つ肉に絡めながら、彼女は虚ろに溶け崩れていく弟の顔を見つめていた。誰にも見ることの出来ないその瞳には安堵の色がある。

 んっ……ぺちゃ……ぴちゅ…れろ……ろっ…ちゅ…

「ひっ…うはっ…あぅぅぅ!!んんっっっっ!!!」

 自分で思う程に拙い愛撫。だがそれに感じている弟に、女としての悦びが沸き上がっていく。まだ少女だった頃以来、一度もした事のないそれに、徐々に熱がこもっていく。目に入れても痛くない、自分の人生を擲っても惜しくない弟の持つペニスだからこそ、それは可愛く、そして愛おしいモノだった。だからこそ感じるがままに行為に没頭していける。さらに激しく、そして淫らに。

 ぷちゅ…じゅ…るるっ……きゅ…ちゅぷ…ろっ…ずず…ちゅぱ…

「ぅあ!!あひっ!いっ!いひっ!あうっ!!あっっっ!!」

 腰が砕けたようにがくがくと震わせながら、ジャンの嬌声が淫らに響いていた。
 いつの間にか彼女の責めは舌で舐める事からその口の中での行為へと移り、先ほどまでのてらいのある愛撫の痕跡などどこにも残らない程に激しい、吸い上げ、絡みつく液体の音を響かせるものへと変わっていた。

「だ、だめっ、おね、いひっ!いや、でちゃぅ!!だめ、だめっ!!」

 ぐんっ!!
 ぬりゅ……!!

「ん…んぼっ…んっ?!ぱっ、はぁっ…あ……はぁ……あっ?」

 荒くなった息のまま、彼女は自分の唇から抜けだし、遠ざかっていくぬらぬらと光り輝くピンク色の肉棒を呆然とみやった。

「え?ジャン…どうしたの…気持ちよく…無い…かい…?」

 ややトーンの下がった、どうしたらいいかわからない色のする声を出しながら、彼女は錆びついたような動きで弟を見あげた。

「だ、だって…もう…でちゃ…おねえちゃんの…」

 上体を起こし、その反動で後ろへと退いたジャンは、その両手で膝を抱えて震えていた。そこには、唇を噛み締め、閉じた瞳から涙を流しながら、姉を汚すまいと耐えている顔があった。彼女の肉体に、鼻の奥がきなくさくなる場違いな愉悦が拡がっていく。

「……嬉しいよ、ジャン。お姉ちゃん、凄く嬉しい」

 かぶりをふる弟にその身を近づけて横抱きにきつく抱き締めると、彼女は何度も何度も頬ずりしながら囁いた。

「だから…いいんだよ、出しちゃって」
「だって、だって」
「気持ち…良くなかったかい?」
「ううん!ううん!だって、おねえちゃんのお口…ひっ…んっ!」

 消え入りそうな声で否定しながら、熱い吐息と、背中と腕に押し付けられた乳房の甘い感触とに記憶を甦らせたのか、固く閉じられた腿がビクリと痙攣し、その身を捩るようなさざ波が走る。
 だがそれは強烈な意志力に封じ込まれていた。姉への想い故に、下半身の快楽に呑み込まれる事を拒否する意志がジャンの身体を拘束していた。

「でも本当にいいのかい?我慢……できる…かい?」

 身を離し、その前に回り込むと、愛撫の名残で唇の端から垂れたままの涎を指先で拭いつつ彼女は弟を心配そうに見やった。
 見え隠れする弟の股間の肉茎は脈打つ血管が浮かぶほどに太くいきり勃ち、そして喘ぐように開ききった鈴口からはとめどなく盛り上がり、垂れていく透明な汁が湧き出してその腿を濡らしている。

「うん……うん……!」
「そうか…じゃ……ね……」

 既にその行為を完遂することが目的となっている事には気付かず、ただ彼女は耐える表情を隠せもせずにコクコクと頷く弟の健気な気遣いに姉として、女としての悦びを感じていた。
 腰の奥が疼き、より一層ぬるみが沸きだし、腿が濡れそぼる程に滴っていくのが判る。

「ほら…見て、ジャン」

 少しだけ沸いた恥じらいを意志の力で押さえつけると、彼女は座り込んでいる弟の目の前で仰向けになって倒れこみ、そしてその両脚をすっと左右に割った。

「っ……?!」

 息を呑む声が響いた。
 彼女はその声に満足げに微笑むと、さらにその指を股に沿って差し込み、伸ばした両手の指先で秘唇を両脇へと拡げて見せる。

 にぱぁ……

 粘着質の音が立つかのような光景だった。細い指先に拡げられて全てを曝しきっている薄紅色の粘膜が、吸い付くようなジャンの視線を受けて身を捩る度に光に揺れ煌めく。そして何よりもそこにある彼女の「女」からは煌めく糸を引く淫らな汁がこんこんと湧き出していた。

「ほら、ここに、ジャンのを入れるんだよ…その、おっきくて凄いの……お姉ちゃんのここに……オマンコに……入るんだよ…」

 赤ん坊のような体勢をとりながら、彼女は弟にその女を曝した。興奮で赤く染まった肌が、うっすらと光を放つように輝き、そして匂っていた。

 ゴクリ。

 ジャンの喉仏が音を立てて唾を呑み込む。食い入るようにそこを見つめる視線を感じながら、彼女はさらにゆるやかに身を捩り、伸ばした指先をそこへ僅かに挿し込んで、そして押し広げてみせる。

「ここだよ…ね……どう?…あねえちゃんの…オマンコ…判る……かい……?」

 弟の視線そのものが答えだった。

「ああ……はぁ……ほら……もっと近くで………おチンチン…ここに……入れ………ジャン……ほら…来て」

 輝かんばかりの優しい笑顔に引き寄せられるようにすり寄っていく最中、ジャンはハッと自分の姿に気付いた。股を広げ、膝立ちで姉の股に身体を入れようとする自分を。股間にそそり勃つペニスを見せ付けるように揺らしながら、血走った眼で姉のそれを食い入るように見つめる自分を。そしてなにより、それを上気した艶やかな顔で、包み込むように、貫くように見ている姉の視線を。

「あれが…わたしの…オマンコに……」

 それは灼けるように熱い視線だった。ジャンは自分の股間にそそり勃つペニスに痛い程の圧力を感じた。そして、これ以上ない程に顔を紅潮させながら、自分の心に泣きそうになる程の羞恥心が沸き上がってくるのに耐える事ができなかった。

「お姉ちゃん……こっち見ないで……よぉ…」

 震える声だった。姉の腿の間に身を入れようとその両膝に手をかけている体勢とは裏腹に、腰は砕け、手が震えていた。そして、股間の逞しい角度すら徐々に失いつつあった。

「……?」

 堪えきれない感情がないまぜになった、ひどい泣き顔になりそうな弟の顔に殴られたように覚醒した彼女は、心の中で己を恥じた。だが、ここでやめる事は論外だった。蕩けつつある、肉体もそれを許さなかった。
 どんな事をしてもジャンを───今や彼女の想いは、それだけに収束していた。

「なんだい、ジャン。お姉ちゃんの……お姉ちゃんの顔見てするのはそんなに……いや…なのかい?」

 ちょっと不満げな声で応えた瞬間にビクリと首を竦めた弟を優しく見つめながら、彼女は身を起こし、そっとジャンの頭を抱えてその豊満な乳房に押し付けた。

「ふふ、ウソだよ。恥ずかしいんだろ?もう、そんな事だから……ううん。だからジャンなんだよね。可愛いよ、ジャン」

 彼女はゆで上がったように耳まで真っ赤になった弟の首筋に甘く囁きながら弟の顔をそっと撫で、その耳元にキスをした。

「お姉ちゃんの顔が見れないなら、恥ずかしくない格好でしようね。それなら、いいだろ?」
「え……う、うん……」

 どういう格好なのか、全く想像すらできずにただ頷く弟を潤んだ瞳で一瞥すると、彼女の身がくるりと翻り、四つん這いになって振り向いた。

「でもね、ジャン。女は顔を見られながらくっついている方が好きなんだよ。だから、今からお姉ちゃんがする、ううん、誰にでも、女にこんな格好させて、逃げ出したら男じゃないからね」

 二度とするんじゃないよ───そうたしなめる時の姉の口調に似ていた。ジャンは涙目になった朱い顔で頷きながら、こちらを振り向いている優しい姉を見つめた。

「ほら……ね、見えるだろ……さっき、教えた所が、全部……ね」

 ジャンの前に、白くて丸い、頭が痺れる程に官能的な肉の塊が突き出されていた。座り込んだままの顔の正面に、高く突き出した形でむせ返るような匂いを放つ肉が汁を滴らせてひくついている。

「お姉ちゃんの……お尻……」

 思わず流れ出た弟の感嘆の呟きに、突き出した肉が姉としての羞恥と悦びに震えた。

「は、恥ずかしいじゃないか…そんな事、いっちゃ…」

 実の弟にまっさらな尻を見せているという現実、隠す所なく女を曝しているという背徳が彼女の脳を灼き、肉体を激しく火照らせていた。何一つされてはいないのに、秘裂から溢れ出す汁はいままで以上にその量を増し、尻肉の細かい震えに押し出されるようにして腿を伝うそれがシーツを浸していく。

「ううん……凄い…綺麗……お姉ちゃん…お姉ちゃんのお尻……」

 ぴちゃ……

「ひんっっっ??!!!」

 前触れもなく熱くぬめった肉の愛撫を受け、彼女の尻が跳ね上がり、背が反って硬直した。

「ああ……お姉ちゃん……お尻……綺麗……ああ……」

 うわごとのように呟きながら、いつの間にかジャンは姉の尻をさすり、撫で、そして舐めていた。自分の自由になる女の尻を食べ、征服する欲望。まだ人生経験など皆無に等しいジャンにすら備わった、それは男としての無意識の行動だった。

 じゅる…ぺちゃ……ちゅ…ちゅぱ…

「うぁ!ああ、ジャン……ひぃ…お尻、お姉ちゃんのお尻、ジャンに、ジャンに食べられてっ……ひっ………!!!!」

 ガクガクと腿を揺らしながら、尻が大きく揺れ動いていた。舐められるだけで腰の奥まで染み込んでくる快感が、身を焦がす程の恥じらいと悦びとなって全身を襲い尽くしていく。

「おねぇ…はぁ……んぐ……ちゅ…おし…り…んちゅっ……んも……ぶちゅぅ…ちゅぱ……おひり…ぃ……んもおお………!!!!」
「ひ…っっ!!うは………はっ……んんっっ!……んぃぃひっっっ!!」

 舌をめり込ませ、顔を食い込ませるようにして尻にかぶりつく弟の責めに、彼女は悶え、よがった。引き締まった尻肉はいまや揉みしだかれて柔らかくほぐれ、赤く色づいて艶やかに光り輝いている。

 ぷは…!!

 一心不乱に姉の尻を食べていた弟は、息継ぎを忘れていたのを思い出したかのように突然口を離すと、大きく息を継いだ。

「っ……はぁはぁ……ふぅ………はひっ……!!ん……はあぁぁ………っっっ!!!」

 そして、一息をつくのも許されないように、満足げな、大きく重く、そして何より熱い吐息が尻に吹きかかっただけでわなないていく姉の尻に魅せられたように見入りながら、少年はその身を震わせた。

「お……おねぇ…ちゃぁ……ん……ぅぅ」

 せつなく、そして切羽詰まった声がジャンの口から漏れた。耐えきれない何かに突き動かされるようにその身体は細かく震え、熱く潤んだ瞳が恥ずかしげに揺れ動く。

「え…え…?…あふ……ジ…ジャン……?」

 彼女は息を荒げつつ、ようやく解き放たれた尻越しに弟の姿を見つめた。破裂しそうな程に高鳴っている自分の胸と同じか、それ以上に大きい鼓動に身を悶えさせる弟。そしてその視線は、臍を悠々と隠す角度まで完全勃起し、先ほどよりもさらに太く膨れ上がっているかに見えるペニスに吸い付いていく。

「……我慢……できないんだね?…なら、いいんだよ…さ、ジャン…おいで…」

 彼女の手が後ろへと伸び、招いた。覗き込む体勢で四つん這いになっていたジャンはその手に引かれるように膝立ちになり、おずおずと前へとにじり寄っていく。

「ああ…そんなになって……ジャン………」

 ずっ…ずっ…

 ジャンが膝を出す度にペニスが大きく揺れ、そして弾かれるように元の位置に戻る。ガチガチに反り返った肉棒がまるでメトロノームのように振れていくその様が、彼女の意識に滑稽さよりも悦びを与えていく。
 それを為し得たのが自分の尻である事。それに優る悦びが無い事を、いまや彼女は無意識の裡に理解していた。そして熱い感情が身を満たしていく。

「ああ、入れ、入れるんだよジャン…ね、ジャンの、そのステキな男の証明を、お姉ちゃんにして見せてよ。ジャンのおっきなおチンチンで、お姉ちゃんのオマンコの中、いっぱいにしてみせてっ……!!」
「え……?……うん……うぁっ?!あああああっっっっっ!!!!」

 彼女はその言葉に誘われるように腰を近づけたジャンのペニスをすっと伸ばした指で挟み込むと、躊躇無く、ずぬりと膣の中へと導いた。そしてそのまま呑み込んだペニスを軽く締めつけるように腿を閉じながら、ゆっくりと尻を後ろへと押し、その濡れそぼる膣穴でジャンの根本までをねっとりと咥え込んでいく。

「なん……ああ!お姉ちゃん、なんで、おねえちゃんっぅっ!!!」

 啜り泣きのような悲鳴が上がった。ジャンの全身を、姉の尻へと吸い込まれるように咥え込まれたペニスから注ぎ込まれる甘く、きつく、熱いぬめりが鳥肌さえ誘って駆け抜けていく。

「はぁふ……ああ、凄いよジャン……硬くて……熱くって……おおおっ……うはぁ!……奥まで……奥まで……っっ!!!」

 にゅきゅっ…ちゅ…きゅぅ……!

 痺れと疼きを擦り込むようにして分け入ってくるジャンの灼熱の肉棒を、彼女の初めてに限りなく近い女が受け容れていた。熱くぬるみ、熟れた肉襞でそれを包み込みながら、だが生娘のような締め付けで絞りあげていく。

 ちゅ……くちゅ…じゅ…くちゅ…

 ゆっくりとした動きが、二人の尻と腰を繋いだ。

「あっ…あっ!ひっ!いっ!すごっ!いっ!うあぁっっ!!ああっ!うぁぁああっっ!!」
「おね、おねちゃ…っ!いっ!いはっ!はっ!ひっ!はひっ!!」

 ジャンの背筋を、尻を、股を、拡がりつつ沸き上がる痺れが昇ってきていた。熱い肉に包まれ、その全てを扱かれる未知の快感がそれを求める本能によって理解され、さらにそれを得る為に腰を振る動作へと繋がっていく。

「凄いよっ!すご…ひぃっ!!もう、もう子供じゃないんだね、ジャン、ジャンはおと…オトコなんだねっ!!」

 子供───快楽に流されてしまう寸前、ジャンの思考がある知識を拾い上げた。冷水を浴びたような緊張が首筋を駆け上がり、どっと噴き出す汗に背筋が凍っていく。

「うぁっっ!!」

 そして反射的に両手で尻にてのひらを当てると、それ以上深く挿し込まれないように、つっかえ棒のようにして姉の尻肉を押し返した。

「どうしたんだいジャン……ほら、我慢しないで、いいよ、動いて、腰振って、お姉ちゃんのオマンコに……」
「お姉ちゃん!ダメだよ!子供、子供できちゃうよぉ!」

 彼女はちょっとびっくりした表情で振り向いた。
 そこには、目を閉じ、歯を食いしばって動きを止めている弟の姿があった。

「いいんだ、大丈夫だよ、ジャン」
「え?だって、だってっ……!!!」

 せっぱ詰まった声だった。

「大丈夫だよ…ジャン……お姉ちゃん、今日は大丈夫な日だから、ジャンのいっぱい射精しても、子供なんかできないからっ………ほら、だから我慢しないで、思いっきり射精してもいいんだよ……ジャンのステキなおチンチンから、白くて熱っつい、男の子のお汁をお姉ちゃんのオマンコの奥にたっぷり入れても………」
「そう、なの?……ホントに……大丈夫なの……っ……ぁぁっ……?!」

 姉の膣の中で甘く締めつけられる快感に必死に耐えながら、ジャンは息も絶え絶えに悲鳴混じりの疑問を投げ上げた。

「大丈夫なんだよ…嬉しいだろ?ふふ…でもね、ジャン。もしジャンが姉ちゃんの事を本気で妊娠させたくなったら、いつでもそう言っていいんだよ?その時はジャンの思う通りにさせてあげるからね。一番危ない日にお姉ちゃん、悦んでジャンの子供をこのお腹で孕んであげるよ……!」

 孕む。そう言った瞬間、ジャンの顔が幼いながら何かに歪んだ。そして、彼女は弟のその表情を、尻に食い込んでくる細い指の力からもはっきりと感じ取った。

「ああ、ああ、そうだね、ジャンはもう立派な男なんだね!ああ、本当だよ、私、わたし、ジャンの子供を孕んであげるからね!ジャンのザーメン、わたしの子宮でたっぷり呑み込んで、受精してあげるよ!!」

 じゅぱっ!ぱんっ!ぶぶっ!ぱんっ!!

 肉穴と肉棒の立てる音が響く。盛り上がってしまった気持ちが吐かせた背徳の台詞を、弟の拙く激しい責めが後押ししていた。自分を求める幼い牡の力強さの前に、背中に溶け崩れるような痺れが這い上がってくる。弟に肉体を預ける姉という背徳が、孕むという悦楽の言葉の意味を肉体全体に染み渡らせていく。

 ドクン!!

「ああっ!そう、そうだよっ!ジャン、ジャンのおチンチンがお姉ちゃんのオマンコの中で膨らんでっ!!凄いよ、ジャンの、ジャンのぉぉおおっっっっっ!!!!」

 極大まで膨らんだ弟のペニスに尻をふりたくり、その尻が激しくペニスを呑み込んでいく。子宮まで届くストロークを根本まで咥え込み、その奥で、その入り口で、全てで締めつけ、扱き抜いていく。

「好きだよ、好きだよジャン!!お姉ちゃん、ジャンのこと、ジャンの事が好きだよっ!!ジャンのおチンチンで、お姉ちゃん気持ちよく……っ!凄く良くなるよっっっ!!!」
「お姉ちゃん!お姉ちゃんっ!!!ぼくの、ぼくのお姉ちゃんっっっっ!!!!」

 じゅぼっ!ぼばっ!ぱんっ!じゅぱんっ!!!

「おチンチン、おチンチン溶けちゃいそうなんだ!ぼくのおチンチン、お姉ちゃんのオマンコの中で……ああっ!!ああっ、ああっっっっっ!!!オマンコの中で、おチンチンきゅぅっっって、うは、うあぁぁあああっっっっ!!!!」

 汗をはいた妖しく艶めかしく蠢く女の尻肉へ、華奢な白い肉がぶつかっていく。弟はしがみつくように、抱きつくように目の前の背中にその細い肉体を被せながら、逞しく膨れ上がったペニスを深く激しく姉の尻へと挿し込んでいく。そして姉は貫いてくる弟の太い男の徴を優しく咥え込み、奥までほじり入るその先端までをも締めつけ、扱き抜いていく。

 にゅちゅ…るうっ…にゅるる…ちゅちゅっっ!
 じゅぼっ…じゅぶっ!ば…ぢゅぼばっっっ!!

 まるで溶け合うかのような二人の密着する肉体を、汗が混じり合って立てるぬるついた音と股間が立てる汁の練り込まれ泡立つ音が包んでいた。

「おおっ!いっ、いいよっ!ひっ……あひぃっっっっ!!っっっ!!!ああっ!あっ!うあっ!ああああっっっっ!!!!」
「おっ、おねっ……ちゃんっ!!うあっっ!ああ!!ひっ!でっ、でちゃぅぅっっ!!!おちんち……ちんち……おチンチンがぁぁっっっっっ!!!!」
「あっっっ!ジャン、おっぱい、そんな、ひぎっ!いひぃぃいいっっっ!!ああっ!うああああっっっっっっっ!!!!」

 より一層早く、強く腰がぶつかる。しがみついた乳房を潰すように両手が握りしめられ、姉の肉に溶け込むように絡み合う。完全に二匹の牝と牡と化した姉弟から、快楽の悲鳴と啜り泣きだけが発せられていく。

「うぁ、ああひっ、と、溶ける、おチンチ、溶け、ぼくの、でちゃ、うぁ、ああっ!でる、お姉ちゃ、うひぃぃいいっっ!!あああああああっっっっっ!!!!」
「ああ、出して、射精して、ジャン、ジャン、ジャンの男の子、ジャンの凄い、強くて太くて硬くておっきいジャンの、ジャンのおチンチン、ジャンのザーメンで、ジャンのっっっ!!!!!」
「あひっ!ひぃぃいいいいっっ!おねえちゃんの、ぼくのぉおおおっっ!!おチンチン、どろって、どばぁって、ひいいっっっ!でちゃう、もう、もう、ぼくのせーえき、お姉ちゃんの膣に、なかぁぁあああああっっっっっ!!!!!」

 ぶりゅりゅるぅぅううっっっ!!!びゅくぅぅううっ!!
 ぶびゅぅぅっっ!!びゅばあぁっっっ!!どぶびゅるるるるるううっっっ!!

「おあああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!」
「ああああっっ!!うああああ!!!ああああああ!!!!!!」

 長く、長く続く悲鳴と哭き声の奥で、少年の溜まりに溜まった精液が際限のない勢いで射精された。奥の奥まで差し込まれ、抉り込まれた肉の先の穴から、白く、熱く、粘ついた青臭くて絡みつく精液がいっぱいになるまで注ぎ込まれ、そして根本から溢れ、どばどばと垂れる程に噴き出していく。

「うはひぃいっっっ?!!まだ、まだ射精するのかいっっ?!ジャ、ジャンの、おっ、おあぁっっっ!!ひ、ひぃぃいいいっっっ!!!」

 そこでは彼女の意志とは無関係に柔らかくこなれた膣肉が蠕動し、咥え込んだペニスを奥へ、奥へ、そして際限なく扱き抜くように愛撫しつづけていた。

「ああっ!!うあぁああっっ!!でちゃう、まだ、まだおチンチ……ひぃっっ!!うはあっぁぁっっっ!!まだ、ぼくのおチンチンからお姉ちゃ……ひっ!いひっっっっ!!」

 そこではジャンの意志とも関係なく、何十本、何百本もの指に愛撫されているような感覚がジャンのペニスを勃たせては射精させ、射精させながら勃たせていた。

「ひぃっぃぃああああひぃひいぃぃいいいいっっっっ!!!うああ、ああ、ああおおっああああああっっっっっっ!!!!!」
「うはぁぁあああっっっ!!んいぃぃいいいっっっ!!おはっっ!!おおあああああっっっっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

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