アホがホイール組むと 桶屋が儲からず 私がしんどいという話 
2013/09/11 Wed. 04:12 [edit]
「お尋ねしたい事があります。
シルベスト豊中店で、TB-25を使ったシクロクロス用
手組ホイールの販売を、新着情報で紹介してますが
後輪のスポークがコンペの2.0-1.8でロクヨン組みでした。
文章も写真もそうなってます。
記事では「左右のテンション差が少なくなるように組みました」と書かれてますが…
シクロ用と言うことで何か特別な理由があるのでしょうか?
野村さんなら、ヨンロク組みが正解だと思うのですが…
どう思われますか?
野村さんがシルベストで働いていたのは知ってますので、
不思議に思ってます。」
というコメントをいただきました。
当該記事は(→こちら)
このコメントをいただくまでに当店にこられた お客さん数人から
同じことが話題に上りました。「あれ、おかしくない?」と。
私としても 彼がロクヨン組みでホイールを組もうが別にどうでもいいのですが、
ロクヨン組みによって
「左右スポークを張る力をなるべく近くなるように組み立てています」と書かれれば
放っておくわけにもいきません。
フリー側A本組み・反フリー側B本組みで「A<B」になるようにすれば
左右のスポークテンション差が近くなるというのが
私がここに普段書いている左右異本組みの効果ですが、
もし本当に「A>B」でテンション差が近くなるというのであれば
私は今までに組んだ数百の左右異本組みホイールについて
ウソをついていたことになります。
いただいたコメントには「ホイールを組んで検証してください」とはありませんが
そうしないことには私の納得が得られず、
今後 左右異本組みについて「理論上 この組み方がいいんですよ」と
お客さんに 堂々と説明できません。
なので同じ材料で ロクヨン組みで組んでみました。
組んでみたのですが「A<B」どころか、「A=B」の左右同本組みよりも
反フリー側がヌルいような気がします。
「気がします」というのは私の経験上のスポークにぎにぎ時の変形量から
そう思うのであって、再現性のある数値を伴っていません。
この状態でホイールとして使えるように振れを取り センターを出していますが、
まずは このときのフリー側・反フリー側のスポークテンションをそれぞれ測ります。
それからヨンロク組みかヨンパチ組みに組み換えて
フリー側のスポークテンションを先ほどのロクヨン組みの時の数値と同じにします。
その時に反フリー側の数値が ロクヨン組みより高くなるのであれば
「A>B」よりも「A<B」のホイールのほうが
よりバランスのいいホイールということになります。
スポークテンションメーターに出る数字は
スポークテンションそのものではありません。
スポークの変形量です。
スポークテンションはスポークの太さに応じた換算表に
ゲージの読みの数字を照らし合わせることで求めます。
ここで、ダイヤルゲージの読みの数字と 実際のスポークテンションの関係は
上の図のような比例直線ではなく
↑大体こんな感じの曲線となっています。
この曲線はスポークの太さごとに違うので、番手やバテッドの違うスポークを
テンションメーターの数字で比べることはできません。
その場合は換算後の「スポークテンション」で比較することになります。
今回の場合はDTコンペティション2.0-1.8-2.0を使うので
「換算前のゲージの読み」で比較できます。
具体的に採った数字については後述します。
一度張ったスポークは「うにょーん属性」を帯びている
(=塑性域に突っ込んだ)可能性があるので使いません。
さらにタンジェント組みの場合は、ヌポークと反ヌポークで
スポークの首元に付く曲がりの癖が異なるので 使い回す場合は
元ヌポークは引き続きヌポークに、元反ヌポークは引き続き反ヌポークとして
使うように 区別してばらさないといけません(少なくとも私はそうします)。
スポークの長さが違うので どのみち使えないということもありますが、
きれいにばらすのが面倒なので テンションを解放したのち 切りました。
組み直しました。
先ほどが全コンペロクヨン組み、こちらが全コンペヨンパチ組みです。
ヨンパチ組みにしたのは今後 私が使うためです。
先ほどのロクヨン組みのダイヤルケージの読みですが、
フリー側の平均が110.35、反フリー側の平均が66.85でした。
110.35から見た66.85はおよそ60%ですが、先ほど書いたように
ゲージの読みとスポークテンションの関係は 比例直線ではないので
この場合 反フリー側のスポークテンションがフリー側の60%、
ということにはなりません。
単に左右差を比較するための数値として見るだけです。
組み直したヨンパチ組みのホイールのダイヤルゲージの読みですが、
フリー側の平均が109.25、反フリー側の平均が88.21でした。
フリー側をきっちり合わせようと思ったのですが センター出しや
軽微な触れ取りで数字が揺らぐので完璧には無理でした。
が、概ね「フリー側のスポークテンションが同じ」と
言っていいのではないかと思います。
そのときの反フリー側のスポークテンションですが、
ヨンパチ組みのほうが高いですね。
ほっとしました。理論上間違いないと思っていても
数値にどこまで反映されるか少し不安だったのです。
反フリー側のスポークにぎにぎも 先ほどよりも明らかに張っています。
これが主観的なものだけではなくて 数値にも現れました。
もし同じような数値ならともかく、明らかに逆転しているなら
(ロクヨン組みのほうが左右バランスが良かったなら)
今まで組んだホイールについて 謝罪の記事を書く覚悟で このホイールを組みました。
かなりどぎつい表題なのは承知していますが、
アホが思いつきで書いたたわごとが間違っているのを証明するために
こんな時間までホイールを組んで測ってばらしてまた組んで測った憤りが
そうさせています。
むかし彼に「スポークの計算方法を教えて」と言われたことがありますが、
その時に ラジアンの概念を簡単に説明し、
紙と鉛筆と関数電卓でスポーク長を出してみてくれと
実際のリムとハブの数値に沿った計算問題を渡したことがあります。
式そのものを渡しても良かったのですが、
ラジアン感覚とそれに付随するメシノタネコードを教えてやろうと思ったので
少し回りくどい やり方を採ったのです。
関数電卓が店になかったのでパソコンのサイト上のものを使うように言ったのですが、
30分後に彼がしていたのは「自転車探検!」というサイトで
スポーク長さを計算するという行為でした。
そんなことするなら最初から私に「教えて」とか言うなボケと失望したわけですが、
その時ちょっと楽をしたばかりに 数年後の今になっても
ロクヨン組み(左右同本組みより むしろバランスが悪い)に
ラジアン感覚的な違和感を感じず組んでしまううえ
「これは左右バランスに気をつけて組んだ」とか
アホなことを書く結果になっているのです。
バランス線的に考えても「ロクヨン組みは右寄り」となるのですが、
当店に来るお客さん、またはコメントを下さる方のほうが
よほどこの感覚を身につけているようです。
余談ですが、自転車探検!のスポーク長計算式は
リムやハブの事情を勘案した補正値がないので
プロの道具として使うのは ちょっと危険です。
一般の方が使う分には まず問題はありません。
詳しくは書けませんが、例えば小数点第一位の四捨五入で
「0.3でも切り上げ」や「0.7でも切り捨て」などの
端数処理をしたほうがいい場合があります。
↑むかし彼は このxの長さを「ルート7」と答えてました。
三角関数はホイール組みだけではなく
自転車の整備に関わってくることもあるのですが・・・。
こんな彼が独力で左右異本組みという組み方を
思いつくということは考えにくく、何かを参考にしたのでしょうが
本質を理解していないので 作ったものが剽窃にすらなっていません。
かわいそうに。
まあルート7の場合は 違う角がほぼ直角になりますけどね。
追記:ごめんなさい ほぼ直角じゃなくて直角です。
私の作った式が悪かったです。そうですね。
7+9=16なので。
ただ、3と4の挟角が直角ではないです。
私のスポーク長計算式から計算したのですが、
ルート7を無理数ではなく 小数点第8位くらいを四捨五入した有理数として
処理したので ほぼ90°と出てしまいました。
そして自作のスポーク長さの計算式(メシノタネコード)の一端を
晒してしまったのであった・・・。
こういう恥は残しておいた方がいいので残しておきます。
これで3件もコメントいただいたよー。早いよ みんなー。
真の最接線組みこと28Hの8本組みについて問題点を2点ほど。
これも書かないと公平ではありません。
まずはヌポークのかぶり問題です。
問題点といいながら私は問題視していませんが、これが嫌だという方は
左右是正度が少し下がりますがヨンロク組みで組めばOKです。
もうひとつはスポークの総延長が長くなることによる重量増です。
各パーツの個体差もあるかと思いますが、10g前後ホイールが重たくなります。
私は左右異本組みで得られるホイールのカッチリ感は
10g前後の重量増よりも重要だと考えています。
リンク先のホイール、
ニップルにシルベストのイメージカラーのブルーを使っているとありますが、
それ以前にこのホイールそのものが
今のシルベストサイクルを象徴していると思います。
category: ホイールの話
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