日本とASEANが共同声明12月14日 18時43分
日本とASEAN=東南アジア諸国連合の特別首脳会議は全体会合を開き、中国による防空識別圏の設定を念頭に、飛行の自由や安全を確保するため日本とASEANが協力を強化することなどを盛り込んだ共同声明を発表しました。
日本とASEAN=東南アジア諸国連合の特別首脳会議は、14日、東京の迎賓館で、安倍総理大臣と加盟10か国の首脳らが出席して全体会合が開かれました。
この中で安倍総理大臣は、中国が沖縄県の尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返していることや、東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したことを念頭に、「一方的な行為により現状を変えようとする動きや、自由な飛行を基礎とする国際航空秩序に制限を加えようとする動きは強い懸念材料だ」と指摘しました。そのうえで、安倍総理大臣は「すべての関係国が国際法を順守すべきだ」と述べ、法の支配の重要性を強調しました。
また、安倍総理大臣は、2015年の経済共同体の発足を目指すASEANを支援するため、5年間で2兆円規模のODA=政府開発援助を行うことや、経済共同体の準備のために設けられた基金に新たに1億ドルを拠出することを表明しました。
このあと安倍総理大臣は、共同議長を務めるブルネイのボルキア国王と共に記者会見し、共同声明などを発表しました。
それによりますと、中国による防空識別圏の設定を念頭に、「国際法の普遍的な原則などにしたがって、飛行の自由や民間航空の安全を確保するための協力を強化することで合意した」としているほか、中国が東シナ海や南シナ海で海洋進出を強めていることを踏まえ、「紛争の平和的手段による解決を推進する重要性を強調した」としています。
さらに、日本とASEANのEPA=経済連携協定の交渉について、新たに「投資」と「サービス」の2つの分野で実質的な合意に至ったことを明記しています。
記者会見で安倍総理大臣は「日本とASEANの協力関係は、二国間にとどまらず、地域、国際社会における協力へと広がりつつある。特別首脳会議を通じて、日・ASEAN関係が新たな次元に押し上げられたと確信している」と述べ、会議の成果を強調しました。
共同声明の概要
全体会合のあと発表された共同声明には、地域の安全保障や地球規模の課題に対する取り組みなどが盛り込まれています。
この中では、中国が東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設置したことを念頭に、「国連海洋法条約を含む国際法の普遍的な原則や、国際民間航空機関=ICAOによる基準、推奨される慣行にしたがって、飛行の自由と民間航空の安全を確保するための協力を強化する」としています。
また、海洋の安全保障については、「国際法の原則にしたがい、紛争を平和的手段により解決する」としたうえで、中国が南シナ海で海洋進出を活発化させ、島々の領有権を主張していることを踏まえ、南シナ海における行動規範に関するASEANと中国の協議の重要性を強調しています。
一方、経済については、「日本経済の再興が、地域と世界経済に大きな利益をもたらす」としたうえで、日本とASEANのEPA=経済連携協定の交渉で、新たに「投資」と「サービス」の2つの分野で実質的な合意に至ったことや、RCEP=東アジア地域包括的経済連携協定などの地域経済連携を引き続き強化することが明記されました。
さらに、フィリピンで大規模な台風災害が起きたことを踏まえ、防災分野で協力体制を構築し、この地域の減災の能力を向上させることの緊急性を確認したとしています。
このほか、全体会合では安全保障や経済など4つの分野の中長期の協力の在り方をうたった「日・ASEAN友好協力宣言」も採択され、空と海のつながりに関する協力を強化し、国際法などにしたがって、海上の航行や飛行の自由を確保することが明記されました。
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