2013-10-18
「停電してないので電力は足りてる」論はオツムが足りない
「原発抜きでも停電は起きなかったので電力は足りている」論をいまだに見かけて驚くのですが、足りないのはご自身のオツムだと思いますよ。
◆結果論で意思決定の不備は正当化できない
「原発抜きでも停電は起きなかったので電力は足りている」のように結果で手段を正当化するのはテロリストの論理であり、避けた方が賢明です。なぜなら同じロジックで下記のように反論されると「ぐぬぬ・・・」となってしまうからです。
「電力が足りるように十分なバッファをもって計画すること」と「結果的に電力が足りたこと」とは全く別の話であり、後者は前者の不備を正当化し得ません。結果的に原発事故が起きなければ、安全性対策を疎かにしてよいわけではないことと同じです。
まだ顕在化していないリスクを「現実に起きていないリスクだから無視してよい」と考えるのも一種の安全神話であり、福島原発事故を起こした安全神話病と同類です。
◆原発抜きでは8月に計画停電が起きていたリスクが高い
そして結果論の観点から見ても、もし原発抜きだったら8月に計画停電が起きていた可能性が高いです。
たとえば8月22日(木)14〜15時の西日本(中部以西)の電力需給は下記の通りで、もし大飯原発が稼働していなかったら予備率は1.3%と計画停電が発動するレベルにまで逼迫していたことが分かっています。結果論からいっても「原発抜きで電力足りる」論は誤りなのです。
【8月22日14〜15時の西日本の電力需給】
電力需要 9235万kw
供給力 9652万kw
大飯原発の供給力 297万kw(236万kw+揚水61万kw)
【8月22日14〜15時の西日本の予備力(大飯原発が非稼働時)】
予備力 120万kw
予備率 1.3%
◆節電させている時点で「足りていない」という自己矛盾
そもそも「節電のおかげで電力は足りた」という言葉に潜む形容矛盾に気付かなければなりません。もし「賃下げのおかげで十分な給料を払えた」なんて言う会社があったら嫌でしょう?
もしも本当に電力が足りているのであれば、節電要請を発令する必要なんてないのです。「節電要請&計画停電準備をさせている」時点で「電力は足りていない」という自己矛盾に気付かなければなりません。
◆主義主張ではなくリスク管理思考プロセスの欠如が問題
「停電は起きていないから原発抜きでも電力は足りている」という反原発論と、「事故は起きていないから原発は安全」という福島事故前の原発安全神話との違いが私には分かりません。未顕在のリスクを軽視する思考プロセスという点で同じに見えます。
本来ならば反原発論は、安全神話とは対極に位置しなければいけない言論です。原発の危険性を批判するための主張だから。それなのに下記のように多くの新たな安全神話を生んでどうするのでしょうか。
【安全神話1】停電が起きなければ電力は足りているので安全。
→関西では計画停電寸前に追い込まれる。
→安全対策としては不十分。国富も流出。
【安全神話3】避難&除染すれば安全。
→避難ストレスで高齢者死亡率が倍増。
破局をもたらす者は、表面的な主義主張ではなく、リスク管理思考プロセスの欠如で区分できると思います。だから福島原発事故のような悲劇の再発を防ぐためにも、リスク管理思考プロセスの欠如は大いに問題視されるべきだと思います。
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