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原発は必要だ――。今後20年ほどを見すえ、政府が打ち出した「エネルギー…
原発は必要だ――。今後20年ほどを見すえ、政府が打ち出した「エネルギー基本計画」の原案は、そんな安倍政権の意思を示す内容となった。
原案には、首相自ら口にしている「原発依存度は可能な限り低減」の一節や、福島第一原発事故への反省も、盛り込まれてはいる。原発の新増設や建て替えの明記は見送った。
だが、原発を「重要なベース電源」と位置づけ、積極的に活用する姿勢は明白だ。
とうてい、容認できない。
茂木経済産業相は、民主党の原発ゼロ政策を「現実性のない戦略だった」と批判する。
確かに民主党の方針には矛盾があった。しかし、今回の案もとても現実的とはいえない。
それを象徴するのは、核燃料サイクル事業を「着実に推進」とうたったことだ。
使用済み核燃料を全量再処理して利用するという現行の方針は、実質的に破綻(はたん)している。
政策の本丸である高速増殖炉「もんじゅ」は技術開発のめどが立たないまま、巨額の維持費を垂れ流している。
使用済み核燃料を加工して通常の原発で燃やすプルサーマル計画も、福島事故の前でさえ、4基しか稼働していない。16~18基で再利用という前提は、現状を考えれば絵に描いた餅だ。
日本はすでにプルトニウムを44トン抱えている。核兵器を数千発つくれる量だ。使用済み核燃料も1万7千トンある。
青森県六ケ所村の再処理工場を動かせば、さらに使うあてのないプルトニウムが増える。こんなずさんな事業は、核不拡散のうえからも許されない。
まずは、核燃サイクル政策の放棄が不可欠だ。そこに正面から向き合わずして「バランスのとれた責任ある計画」とは、言えない。
そもそも脱原発の大きな方向性は、民主党が勝手に決めたわけではない。討論型世論調査など新しい手法も含め、さまざまな手段での「国民的な議論」を通じて、ていねいに確認した民意だ。その後の世論調査を見ても、国民の意志は固い。
首相もそれをわかっているからこそ、「原発依存の低減」に言及するのではないのか。「即ゼロ」が難しいなら、段階的な削減の道筋を示すのが筋だ。
福島の事故は、原発中心の電力システムがいかにもろいかを浮き彫りにした。今後、健全な競争を前提とした電力改革を進めるうえでも、国が前面に出ないと廃棄物の後始末もできない原発はお荷物になる。
今こそ、大局に立つときだ。
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