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防空識別圏、中国が犯した計算違い

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2013/12/13 7:00
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 12月2~7日には、米国のジョー・バイデン副大統領が日本、中国、韓国を訪問。目的は、米国の外交戦略がアジア重視にシフトしていることを中国やアジアの同盟国に改めてはっきりと伝えることだ。バイデン氏は、中国の習近平国家主席とは良好な関係にあるとされる。この状況下で、2人の関係がいいことは歓迎すべきことだ。

■近隣諸国にも緊張

 第2に、中国はこのところ近隣諸国に対し、悪意のないことを納得させようと努力を重ね、かなりの成功を収めてきていた。だが防空識別圏の設定は、その努力を大きく損なうものとなった。

中国山東省青島市の基地から出港する空母「遼寧」(11月26日)=共同
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中国山東省青島市の基地から出港する空母「遼寧」(11月26日)=共同

 例えば中韓関係は、中国と韓国が日本に対する怒りを共有していることも手伝って、最近改善していた。両国は、日本が戦時中の悪行をきちんと振り返ろうとせず、領土問題でもかたくなな姿勢を崩さないと批判している。

 しかし、中国の防空識別圏は、韓国が領有を主張する海域の上空にもかかっており、韓国政府も即座に遺憾の意を表明した。

 さらに、このところ着実に関係が改善していた台湾との間にも、新たな火種を生むことになった。

 習主席と李克強首相は10月、東南アジア諸国を歴訪し、歓迎を受けた。折しもバラク・オバマ米大統領が予定していた東南アジア歴訪を中止したこともあり、中国は信頼できる存在として各国から熱いまなざしを浴びた。南シナ海では、中国と周辺4カ国との間に領有を巡る緊張が存在するが、経済的パートナーとしての中国の重要性が、問題を覆い隠した格好だった。

 しかし、東シナ海で防空識別圏を設定した以上、中国が南シナ海でも同じ措置が取れると考えるようになるのは、時間の問題と思われる。

 中国初の空母「遼寧」を中心とする艦隊が11月26日、南シナ海での軍事演習のために出港した。このことは、中国が南シナ海のほぼ全域の領有を主張しており、それに異議を唱える国々には(最近では特にフィリピンに対し)、威圧的行動に出る用意があるという中国の意思を改めて認識させた。

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