日本経済新聞

12月14日(土曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

The Economist

防空識別圏、中国が犯した計算違い

(1/4ページ)
2013/12/13 7:00
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント

The Economist

(2013年11月30日付 英エコノミスト誌)

 中国による防空識別圏の設定は、これまでの中国の外交政策の原則に反している。英エコノミスト誌は、一連の狙いは日米同盟に伴う米国の負担コストを高めることにあると見る。日中の緊張感を高めれば、米国が日本に折れるよう説得することを中国は期待している、と。

 世界の舞台に新たな大国が台頭する時、戦争になることが多かった。中国の指導者は、そのことを強く意識している。だからこそ、「平和的発展」を遂げるための計画を重視している。

習近平国家主席は中国の全権を握ったように見える(2012年11月)
画像の拡大

習近平国家主席は中国の全権を握ったように見える(2012年11月)

 ただ、その表し方が奇妙なことがよくある。11月23日に中国政府が宣言した東シナ海の防空識別圏(ADIZ)の設定は一例だ。この防空識別圏は、中国が日本に対して領有権を主張している尖閣諸島(中国名:釣魚島)の上空を含む。

 こんな行為は、近隣諸国の警戒を呼び覚まさずにはおかないし、現在の超大国、米国との関係も緊張させてしまう。そこで浮上してくるのが、中国は本当に平和の維持を優先しているのかという疑問だ。あるいは中国はあつれきを生まずに台頭していく術を持ち合わせているのか、というべきかもしれない。

■対米関係を危険にさらす

 今回の防空識別圏の設定は、少なくとも3つの点で、中国が明らかにしてきた外交政策の方針に反しているように見える。

 第1に、中国は米国とは「大国同士の新しい関係」を築きたいと主張してきた。しかし中国が、世界のほかの地域では既に冷戦時代の遺物となっている防空識別圏を引っ張り出してきた以上、米国がこれに対して軍事力の誇示という古くさい対応に出ることは、ほぼ避けられなかった。

沖縄県・尖閣諸島の魚釣島周辺で、警戒監視活動を行う海上自衛隊のP3C哨戒機(2011年10月)=共同
画像の拡大

沖縄県・尖閣諸島の魚釣島周辺で、警戒監視活動を行う海上自衛隊のP3C哨戒機(2011年10月)=共同

 米国は、尖閣諸島の領有権に関してはどちらの立場にも与しないとしているが、防空識別圏の設定を受け、即座に、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であると改めて明言した。

 さらに米国は時を待たず、手続きを経ずに防空識別圏に進入した航空機に対しては何らかの措置を取るという中国の脅迫的文言を確かめる行動に出た。11月26日、米軍グアム基地所属のB52爆撃機2機に、中国への事前通告なしで新たな防空識別圏内を飛行させたのだ。

 東シナ海の海域には、日本が攻撃された場合を想定した日米合同軍事演習のために、米軍の空母艦隊が既に展開していた。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 4ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント

【PR】

【PR】

The Economist 一覧

沖縄県・尖閣諸島の魚釣島周辺で、警戒監視活動を行う海上自衛隊のP3C哨戒機(2011年10月)=共同

共同

防空識別圏、中国が犯した計算違い

 世界の舞台に新たな大国が台頭する時、戦争になることが多かった。中国の指導者は、そのことを強く…続き (12/13)

中国・大連にある韓国STXの造船所

低価格に頼る中国に差を付ける韓国造船業

 韓国の造船所は今この瞬間も、数多くの巨大船舶を建造している。韓国南部の釜山周辺には、韓国の造船ビッグ3の造船所が集まり、世界最大のコンテナ船(全長400メートル)やオイルバージ船(全長約460メートル)、世界最大の石油リグ(油井掘削装置)の幾つかを作っている。…続き (12/6)

10月1日、消費増税を発表する安倍晋三首相。安倍首相の描く成長戦略「第3の矢」の実現に向けた取り組みは遅々としている=ロイター

ロイター

安倍改革の歩みはのろい

 安倍首相は国家戦略特区の詳細を含む成長戦略の第2弾を発表、追加の改革案を約束した。…続き (11/29)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

リーダーのネタ帳

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について