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静岡空港新幹線新駅 県の構想再燃、JRとの溝は埋まらず

(2013/12/ 4 14:33)
静岡空港新駅で県が関係者に配布している資料を基に作成した構想イメージ。防災拠点と新幹線の連携をアピールしている

 長年の曲折を経て休眠状態だった東海道新幹線の静岡空港新駅構想の議論が再び、熱を帯び始めた。川勝平太知事は「首都圏空港としての活用」を太田昭宏国土交通相に直訴。地元では政財界による署名収集の準備委員会が発足し、機運が高まりつつある。ただ、事業者のJR東海は一貫して「設置は困難」との姿勢で、県との溝は埋まっていない。

「防災、五輪で役割」
 県が候補地に挙げるのは空港直下を貫くトンネルの西側坑口付近の地上部。熱海駅のような本線両脇にホームを設ける構造を提案する。コスト面などから、トンネルを新たに掘る必要のある地下駅構想は事実上断念した。

■転機はリニア
 議論が再燃する転機となったのは2010年に国交省交通政策審議会小委員会が出した見解だ。リニア中央新幹線整備の意義に「新幹線新駅」の可能性が初めて盛り込まれた。
 さらに、国土強靱(きょうじん)化に基づくオフサイトセンターを併設した空港の基幹的広域防災拠点化や東京五輪の開催決定が追い風となる。川勝知事は、災害時の人員・物資輸送や五輪で訪れる外国人客の輸送に「新駅が果たす役割は大きい」との主張を展開。富士山噴火への備えでも首都圏空港の代替施設として優位性があるとし、27年のリニア開業までは、必要な時のみ新幹線を止める臨時駅的な扱いも視野に入れる。

■国の動きに期待
 新駅設置構想は空港が計画された1980年代にさかのぼる。2000年には県や地元市町の期成同盟会が今回とほぼ同じ位置への半地下型駅の構想案を打ち出したものの、JRは「地元に誤解を与えないようにしてもらいたい」と県に文書で通知し、結局誘致活動は下火になった。
 再び浮上した構想の現在の旗振り役は知事自身。これに引っ張られる形で地元では新駅誘致を目指す署名計画が動き出した。県議会も県の次期総合計画へ新駅推進の明確な位置付けを求めている。
 ただ、議会は「JRの歩み寄りは見えない」との認識。県幹部も「構想を膨らませても、JRの協力がなければ話は前に進まない」と認める。
 川勝知事は「JRに迷惑をかけることはしない」と強調し、国の動きに期待感を示す。
 「国の防災、国の威信をかけた五輪という観点で考えることが必要だ。太田大臣の方からも(JRに)そういう働き掛けがあるのではないか」

JR、一貫し否定的
 静岡空港への東海道新幹線の新駅構想に否定的な見解を崩さないJR東海は、現在の過密ダイヤや西側の掛川駅との距離が近すぎる点などを理由に挙げる。広報担当者は「高速性の維持が難しくなる。設置が不可能ということはずっと県に伝えていて、今後も考えは変わらない」と強調する。
 リニア開業後についても県内の既存駅への「ひかりやこだまの停車本数が増える可能性はある」とするが、新駅設置は視野に入っていない。JRの関係者からは「県との協力は大切だが、空港新駅に関しては話が別。事業者の立場をなぜ理解してくれないのか」との不満も漏れる。

 

 

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