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全焼した福島・飯舘の山津見神社 拝殿のオオカミ絵復活へ
 | オオカミのこま犬の前で語り合う(右から)久米さん、加藤さん、ワーンさん=福島県飯舘村の山津見神社 |
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 | 山津見神社にあったオオカミの天井絵(ワーンさんの写真から) |
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「佐須の山の神」として全国に知られ、4月の火災で全焼した福島県飯舘村佐須の山津見神社で、和歌山大の研究者が天井に描かれていたオオカミの絵の復活に協力することになった。オオカミは山の神の使いで神社のシンボル。福島第1原発事故後、避難生活を送る地元佐須地区の住民は「再建と帰村への励み」と期待する。
この研究者は、同大観光学部の加藤久美教授(53)=地域再生学=と、特任助教でオーストラリア人の写真家サイモン・ワーンさん(57)。
「ニホンオオカミを通して自然と人の共生、文化と信仰を調べるうち、原発事故の後も住民の心のよりどころになり続けている山津見神社を知った」と加藤さんは言う。
オオカミの絵は、拝殿の天井板約240枚にそれぞれ描かれ、山野を駆け回った往時の姿を生き生きと表現していた。拝殿が建った1904年、旧相馬中村藩家老だった宮司久米中時が私財で元御用絵師に描かせた。
絵は4月1日の火災で焼失したが、2人は直前の2月に神社を訪れ、ワーンさんが一枚一枚をカメラに納めていた。
「貴重な記録を生かし神社と地元の再生に役立ちたい」と加藤さんらは三井物産環境基金の助成金を得て、このほど神社に支援を申し出た。復元の方法などは今後、地元の人々と共に検討するという。
仮拝殿を守る禰宜(ねぎ)の久米順之さん(45)は「今、再建に向けて計画中だ。話はありがたく、宮司や氏子の人々と相談したい」と話す。
氏子総代の農業菅野永徳さん(74)は伊達市の仮設住宅で暮らす。「全戸が氏子で、神社の焼失に言葉を失った。数年後の帰村まで再建を実現させたい。天井絵復活の支援には力づけられる」
佐須の地域再生を支援するNPO法人「ふくしま再生の会」(田尾陽一理事長)も協力する。
基金からの助成は3年間で、加藤さんは「住民の思いを聞きながら、いい方法を考え、美術を学ぶ東北の学生らにも復元作業への参加を呼び掛けたい」と話している。
2013年12月14日土曜日
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