インターネットの闇サイトなどを通じて犯罪仲間を誘う行為が問題視される中、日本で犯罪に手を染める在留中国人の間で、中国語圏で広く普及しているネットのコミュニケーションツールが悪用されている。「QQ」という中国のチャット(会話)サービスだ。QQ自体は違法ではないが、仕事の斡旋(あっせん)と称して犯罪に誘い込んだり、国内の実行行為者が中国の協力者と連絡を取る手段に使われたりするケースが確認されており、日本の捜査当局は警戒を強めている。
今年6月と7月、福岡市と岡山市の携帯電話店で、スマートフォン(高機能携帯電話)がだまし取られる事件が相次ぎ、詐欺容疑などで、福岡の事件で2人、岡山の事件で3人の中国人が大阪府警に逮捕された。
いずれも目的はスマホの転売。捜査を逃れるため、在留期限の残りが短い中国人が、携帯を購入できる程度の長い在留期限がある別の中国人に身分証を使ってなりすますなどし、頭金なしの分割払いで契約して代金を踏み倒す−という手口も共通していた。
2つのグループに組織的なつながりはなかったが、一つの「線」が浮かび上がる。それがQQだった。福岡事件で転売役の元留学生の男(31)と、岡山事件で逮捕された大学生の男(27)は面識はないが、QQのチャット仲間だった。稼ぎのいい仕事として、大学生がスマホの転売を教えたという。
QQは、フェイスブックなどと同様に国境を越えて会員同士でメッセージなどをやりとりできる「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」の一種。中国語圏の3億人以上が利用しているとされる。
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