リンク先:http://blog.livedoor.jp/tkfire85/archives/55544696.html
出版社が週刊誌を電子書籍化して販売した方が良い7つの理由
リンク先:http://edu-dev.net/2012/11/29/weekly_magazine_ebook_7reasons/
このブログの右にあるリンク先「ホントに電子書籍は普及するのか」でも「週間少年ジャンプは電子書籍にならない理由」という記事が掲載されています。7〜8年前に書いた記事(年号や数値は更新済)なので、私のほうが先に「週間少年ジャンプは電子書籍にならない」と言い始めています。上記のブロガーの方は昨年のKindleオープン以降に書かれているようなので、彼らの意見に対して反論して行きたいと思います。今さら古い話に突っ込んで申し訳ないとは思いますが、最近気づいちゃったのでほっとけない気分です。
「週刊少年ジャンプが「Kindle」で発売される日」が先に公開されているようなので、このブログ記事にそって意見を述べて行きます。
※暴言などの汚い・不快な言葉が文中にありましたら、修正いたしますのでご連絡ください。
1.「少年ジャンプが毎月1000万部捨てられている」について
エコロジーについて語る気持ちは理解できなくもないが、紙ということだけを注目しているところがナンセンス。週間少年ジャンプは原稿を入稿した後は茨城県の印刷工場で莫大な電気と大量のインク(廃液なども出る)を使い印刷製本され、トラックで出荷される(もちろん大量のゴミも出ます)。はっきり言ってしまうと印刷物すべてがエコではない!発行部数が280万部という週間少年ジャンプなんてまだかわいいほうで、国内某大手新聞は朝刊1000万部という発行部数を誇る。週間少年ジャンプとは紙の量や大きさなど異なるが、大量のチラシや夕刊もあることを考えると、某大手新聞の方が圧倒的にエコではない。新聞については電子新聞などもあったりするので、また別の機会にブログ記事にします。
つまりブロガーの方は「エコのためには、この世からすべての印刷物が消滅すれば良い」と言っているようなもので、全く現実的ではない。ひょっとしたら50年後、100年後はそういう時代になっているかもしれないが、現代では言い過ぎ感が否めない。原発が止まって火力に頼っている電気も地球温暖化の影響を考慮して止めたほうがイイですか(私も言い過ぎたわ:笑)?
2.「少年ジャンプに利益は出ているのか?」について
あくまでも週間少年ジャンプの売上げについて書かれているようで、ご丁寧に計算までしている。しかし広告料金についての記載が無いところを見ると、出版のことを全く知らない方が書いているということがよくわかる。
週間少年ジャンプのカラー1ページの広告料金は300万円前後だ。広告が掲載される場所によって料金が異なるのが通常で、例えば表2・表3・表4という場所は目立つので人の目に触れやすいということからほとんどの雑誌では高額に設定されている。2013年22・23合併号を参考に見るとカラーの社外広告は表2・表3・表4・P25とP27にある。300万円(仮)×5ページ=1500万円、1ヵ月(4回)に換算すると6000万円、1年だと7億2千万円という広告収入になる。こんな莫大な利益が計算に入っていない時点で記事はアウトだ(とりあえず自社広告分は無視しました)。
たぶんご存知の方もたくさんいると思うが、漫画家や原作家は週間少年ジャンプの原稿料だけでは仕事や生活ができない。これは「バクマン」でも描かれていたので割愛するが、さまざまな経費で全部無くなってしまう、もしくは赤字になる。彼らの収入のメインは単行本化された直後に支払ってもらえる印税だ(その他アニメ化・ゲーム化・映画化・ドラマ化・グッズ・CMなどの原作・著作料もある)。この単行本(コミック)がなければ漫画家や原作家だけでなく、集英社も傾いてしまうぐらい大事で莫大な収入源だ。
週間少年ジャンプではカラーページ以外の紙は質の悪い色紙(緑・赤・黄など)を使用している。もちろん単価を最小限にするためだが(読んでいて飽きない効果もある)、これが電子書籍の場合はどうなるだろうか?そう、すべて白ページになる。Kindleなどの規定で「背景に色をつけてはイケナイ」としているし、Kindleは電子書籍の容量によって配信通信料を取るので、カラーをできるだけ減らしたほうが得策だ。よって週間少年ジャンプは白背景になる。
ここまで言えばわかると思うけど、「電子書籍の単行本が極端に売れなくなる」のである!たぶん印刷の単行本の発行部数にも相当な影響を及ぼすことも間違いない。書き下ろしの表紙など単行本にいくらかの特典はつけられるだろうし、「週間少年ジャンプは買わないけど単行本だけ買う」という人の数が多いのは知っている。しかし現状では「スクリーンショットで電子書籍のページを撮影してPDFにまとめる」だけで、単行本とほぼ同じものが作れてしまうのだから、「単行本だけ買う」という人に海賊版が流出するのは目に見えている。電子書籍はスクリーンショットで撮影ができてしまうので、DRMなんて関係ない!1冊400円以上もする高価な単行本の売上げは、いずれ遠くない未来には半分以下に落ちてしまうだろうと予測できる。
それでも世界中の読者のために電子書籍にした方がイイですか?
ホントは個人的に週間少年ジャンプの電子書籍化は賛成なんだけど(いい年齢だけど毎週読んでます)、何の対策もないのに電子化してはイケナイと思う。出版社(編集など社員を含む)・漫画家・原作家に良い作品を生み出してもらうには、収入を確保してもらわなければ不可能だ。音楽や芸能人なども同じだが、より多くの人を感動させたり楽しませたりすることができる人は、それなりの収入を得るのは当然のことだ。
3.アンケートについて
確かにアンケートは週間少年ジャンプの人気を支える生命線であることに間違いはない。電子化されればWEBアンケートになり、アンケート葉書を入力集計する手間も省けるだろうし、50円切手も不要だからアンケートの量も増えるでしょう。しかし上記のように単行本の売上げが極端に下がってしまうのが現実。集英社はボランティア団体じゃないんだよ?利益を追求するための企業なんだよ。アンケートより利益のほうが大事に決まってるじゃん!!
「出版社が週刊誌を電子書籍化して販売した方が良い7つの理由」のほうにも若干触れておきたい。
4.「新たな広告収入の獲得」について
電子書籍にすればWEB広告が増やせるみたいなことが書いてあるが、集英社から見れば余計なお世話だ。集英社という大企業はバカではないのですよ!
上記にも書いてある通り週間少年ジャンプにカラー広告はわずか5ページ(社外広告)しかないということに注目してもらいたい。よく考えてみると日本一の発行部数なのに少ないと思わないだろうか?300万円払ってでも週間少年ジャンプに広告を出したい企業は多いはずだから、10〜20ページぐらい広告を増やすのが普通の感覚だろうけど、実際にやっていない。私は集英社の人間ではないので憶測なってしまうが、意図的に少なくしていると考えるほうが自然の発想だ。つまり広告収入で一時的な現金を得るより、自社広告やゲームやアニメ化などとのタイアップを優先したほうがメリットが大きいのだ。もしかすると本当は社外広告はゼロにしたいのかもしれない(広告代理店とかの関係なのかしら?)。方向性に若干違いはあるがディズニーランドの「夢の国商法」に近いものが感じられる。そう、週間少年ジャンプは「ジャンプだけの世界(集英社を含む)」にしたいのではないだろうか?
5.「海外ユーザーの獲得」について
前述の通り集英社はボランティア団体ではない。海賊版などの違法コピーが散乱するキッカケをそう容易く何の準備もせずやったりはしない。
英語がわからないので何とも言えないが、viz.comで日本の週間少年ジャンプではないけど、近いものが翻訳されて電子書籍となっているらしい。詳しく知っている方がおりましたら、恐縮ですが教えてください。場合によってはこの記事を撤回いたします。
6.「しかし、電子書籍販売できない理由はたくさんある」について
実はこの意見に対して怒りを覚えます。このブロガーの方は出版関係の仕事をしているわけでもなく、憶測や想像だけで何でも知っているかのように「雑誌の出版関連業者との取引に係る問題」「広告掲載企業との関係」「大手販売取引先のコンビニとの関係」「複雑な理由がたくさんある」などと書かれている。その「出版関連業者」「広告掲載企業」「コンビニ」と何か関係があるならその関係性をハッキリ伝えてほしい。例えば「親会社・子会社の関係」「大株主」「経営者や役員の血縁関係」などでもあると言うのだろうか?それとも何か黒い噂でも知っているのだろうか?そこまで言い切るのであれば、ぜひ教えていただきたいと思う。
7.「それでも電子書籍を始めるべき理由がある」について
「電子書籍化を願う読者が増えている」から週間少年ジャンプを電子化しろっていう話のようだが、今まで述べてきたように集英社や漫画家・原作家らにメリットがないどころかデメリットだらけの状態では不可能だし、やるべきではない。特に単行本の売上減は深刻な問題なので、そう簡単に電子化に踏み切れるわけがない。もし解消する方法があるなら集英社に教えてやってくれ!
確かにタブレット端末は売れ筋だろうとは思う。しかし週間少年ジャンプの真のターゲットである小中高の子どもたちがどれだけタブレット端末を持っているのであろうか?タブレットを親に買ってもらうならDSやPSPやスマートフォンを欲しがるような気がする(この記事についてはいずれ別のブログにします)。
現時点では電子書籍は主に大人のためのサービスである。電子書籍を購入するにはクレジットカードが必須だ(まぁ家族カードみたいのもあるけどね)。もちろん携帯料金に含めたり、iTunesカードを使うことができる電子書籍ストアがあることは知っている。別に教育者を気取るつもりは全くないが、子どものうちから実際の現金が動かない買い物はやらせないほうが良いと考えている。現実に商品を購入すれば、お小遣いが減るという体験をして、はじめて大人になってからバーチャルマネーなどに対応できるようになるのではないだろうか?それとも親に現金を渡してネットで買ってもらうのか?少なくても私の子どもには、そんなことはさせない。自分でクレジットカードを使える身分になるまで不要だ。
話が脱線しているので、この辺で止めておきます...。
つまりブロガーの方の意見は、私から見れば荒唐無稽なわけです。もちろんブロガーの方の意見が正しくて、すぐに電子化されるようであれば、その時は謝罪しブログ記事を削除撤回します。
というわけで、昨年アップされたブロガーの方の意見と私の意見のどちらが真実に近いかの判断は皆様にゆだねますので、自由に判断してください。
【余 談】
「ホントに電子書籍は普及するのか」というホームページは、OCNの個人HP(無料)なのに「少年ジャンプ 電子書籍」でググると並みいる有名電子書籍ストアを抑えて1位〜3位ぐらいでヒットします(実はつい最近気が付いた:汗)。こちらでは「週間少年ジャンプは絶対に電子書籍にならない」と書いてありますが、「絶対」ということはなく、すべてのデメリットが解消されれば電子化されると思います。特にスクリーンショット(SS)はどうにかできないものか?仮にリーダーアプリ側でSSを作動させないようにできるとしても、何か別のアプリでSSできるような気もするので、イタチごっこになりそう。
私の友人でKindleなどのストアでマンガを300冊以上購入している人がいる。その人は万が一ストアがサービスを停止・閉鎖してしまったらマンガがすべて消えてしまうので、すべてSSしてパソコンに保存しているそうだ。Kindleなどのストアの規定を詳しく調べていないけど、流出などはさせていないので、本人は悪いことだと思っていないし、当然の自衛手段だと考えているようだ。
そうそう、もし仮に週間少年ジャンプが電子書籍で販売されることになった場合、私だったらKindleなんかで販売しない。自社電子書籍ストアの「ジャンプBOOKストア」だけで独占販売する(独占禁止法違反だったら考えるけど)!もちろん自社の専用リーダーアプリを開発して、すべての端末でSSなどを防止する。さらに翻訳して世界同時発売を実現させますね!!