“ハゲ”しい戦いか、元夫婦対決か――。日本維新の会の東国原英夫衆院議員(56)が11日、離党届を提出し、近く国会議員も辞職することになった。「維新の原点が変質してしまった」と石原慎太郎共同代表(81)ら旧太陽の党議員の政治手法を批判。橋下徹共同代表(44)に彼らとの絶縁を迫ったが拒否されたことが、離党の背景にある。徳洲会スキャンダルで辞任必至の猪瀬直樹都知事(67)の後釜狙いとも言われ、近々の可能性も取り沙汰される都知事選は混戦模様となってきた。
「たちあがれ日本(太陽)と合流したことで、維新の政策や理念がファジーになった。合流直後はギリギリ許容範囲だったが、だんだんズレが大きくなっていた」。東国原氏は11日の会見でそう語った。
離党の一番の理由は、6月30日に行われた橋下氏との懇談だった。当時は、慰安婦発言で維新の政党支持率が急落していた。東国原氏は「V字回復のためには党執行部の総取っ換えが必要だ。たちあがれの方を断ち切るとは言わないが、現場は維新のオリジナルメンバーで回すべき」と訴えたという。執行部は旧太陽で固められていた。
これに対する橋下氏の返答を東国原氏は明かしてはいない。
「本人の了解を取っていないので言えない。昨日(10日)も橋下氏に再確認したが決意は変わっていなかった。これがあったから離党する」(東国原氏)
一体、どんなやり取りだったのか。維新関係者は「“石原切り”を迫った東国原氏に対し、橋下氏は拒否したんです。だから旧太陽のせいで維新がダメになったと考える東国原氏は『やってられるか!』と橋下氏に三くだり半を突きつける格好になりました」と明かす。
離党届が受理され次第、議員辞職する予定。猪瀬氏が辞任した場合の東京都知事選や宮崎県知事選への出馬がささやかれているが、東国原氏は「都知事選があるかどうかも分からないから、出馬はありませんとしか言いようがない。宮崎県知事選は出馬するつもりも計画も予定もない」と否定してみせた。
しかし、別の維新関係者は「県知事で実績を積んで国会議員になってみたら、予想以上に何もできなくてつまんなかったんでしょう。もう一回、知事になりたいと思っていますよ」とにらむ。
猪瀬都知事がまだ辞めていないにもかかわらず、都知事選は既定路線のように報じられ、多くの候補者名が飛び交っている。舛添要一前参院議員(65)もその一人。知名度と厚労相時代の実績は十分で、東国原氏とは“ハゲ”しい戦いとなりそう。
さらに、元妻も参戦の意思があるという。
「自民党の片山さつき参院議員が『やりたい』と手を挙げているというんですよ。舛添氏との元夫婦対決になったらおもしろい」(永田町関係者)というから驚きだ。
自民党関係者も「片山氏は埼玉県知事選や静岡県知事選でも名前が挙がったことがある。悪く言えば目立ちたがり屋ですが、組織のトップでやってみたいという思いが強い」と話す。
また、小泉純一郎元首相(71)の名前も聞く。
「週刊誌が書いているだけかと思ったら、本当に『都知事は小泉さんがなるべき』って言う人がいた。脱原発という点で期待が高い」と野党関係者。
「脱原発なら山本太郎氏という選択肢もあるのではないか。さすがに小泉氏が首を縦に振るとは思えない。本命がいないからこそチャンスだ」(ベテラン秘書)
都知事選出馬をめぐる駆け引きは、東国原氏の離党で実質的に火ブタが切られたといえそうだ。
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