人工的な放射線は有害だと言う人もいますが…。
ゲイル:放射線には無害なものが多数あります。(人工的な)携帯電話や電子レンジ、テレビやラジオから出ている放射線は、無害です。強力ではないからです。分かっている限り、人類に害を与えません。携帯電話が脳にがんを引き起こすなどと言う人がいますが、単に、それは「真実ではない」と言っていいでしょう。
世界中、もちろん日本でも20年以上、大変多くの人が携帯電話を使ってきましたが、脳のがんは増えていません。このぐらい低いエネルギーしかない放射線が、どうすればがんを引き起こし得るのかが分からない。一方でエネルギーが大きい、ある種の放射線は大変有害です。十分に低い線量まで被ばくを減らさなければいけない。
放射線量の大小が一番重要なのですか?
イオン化するかどうかもかぎ
ゲイル:生きている人の体は、ひっきりなしに膨大な原子や分子が化学反応を起こしています。重要なのは、放射線が人の体の化学反応に対して変化を起こし、たとえば細胞内の組織を損傷するほど線量が強いかどうかです。イオン化(電離作用)を引き起こすかどうかは判断のポイントの1つです。イオン化を引き起こす場合、生物学的に有害な可能性があるからです。マイクロ波や携帯電話の電波のような放射線は、イオン化を引き起こさないので、無害とみなしています。こうしたものは一部の紫外線などを除けば害はほとんどありません。
イオン化というのは?
ゲイル:イオン化は、原子核の周辺を取り囲む電子が、次から次へと別の電子にぶつかって電子を追い出し、電荷を帯びた粒子、すなわちイオンをつくる形で、当たった原子の構造を変えてしまう現象のことです。2つのビリヤードの球が、ぶつかっていくようなものです。片方がもう片方にぶつかり、その勢いが軌道を外れてしまうほど強いと、イオン化し、生物学的に有害です。ただそれなりにエネルギーが強くなければ、有害ではありません。
イオン化はいつでもどこでも起こっています。ここに座っている今も、私にもあなたにも放射能があるので、互いに放射線を出し合っています。人と人が隣り合えば、それで絶えずお互いの電子がぶつかり合うわけですから。
問題なのは、何かがあった時、我々は普段は放射能がなく、突然放射能があるようになったと考えるところです。すべてに普段から放射能はあるので、問題はそれがどれくらいの強さかということです。