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【放送芸能】

「かいけつゾロリ」の魅力 回り道でも気にするな

 児童図書のロングセラー「かいけつゾロリ」シリーズ(原ゆたかさん原作)の長編アニメ映画第2弾「映画かいけつゾロリ まもるぜ!きょうりゅうのたまご」が14日に公開される。テレビ放送時からずっとゾロリの声を担当する山寺宏一に、作品の魅力や声優を目指す人たちへのアドバイスを聞いた。 (井上喜博)

 −「かいけつゾロリ」の映画化は、昨年の「映画かいけつゾロリ だ・だ・だ・だいぼうけん!」からちょうど一年ぶりです。

 「またゾロリを演じることができて、うれしいですね。テレビシリーズ(二〇〇四年二月〜〇七年一月)が終了した時に、劇場アニメとして復活すればいいとスタッフと話していましたが、まさか二年連続で製作されるとは思いませんでした」

 −「かいけつゾロリ」の魅力は一体なんでしょう。

 「原さんから『活字離れの中で、最初から最後まで夢中になれる本を作りたいと思って書いている』と聞いたことがありますが、まさにサービス精神の塊。ゾロリの夢はお城とかわいい花嫁を手に入れることで、下心のために行動するんだけど、結局世のため人のためになる。憎めないヒーローなんです」

 −ずばり今回の作品の見どころは。

 「ゾロリが恐竜の卵、つまり命を守る物語です。親子愛と、友達との約束を果たすことがテーマですが、個人的には『長い人生、たまには回り道することもあるさ、気にするな』というゾロリのせりふが気に入っています。僕にとって神様のような存在の野沢雅子さんもゲスト出演しています」

 −声優としての仕事についてもお聞かせください。アニメと洋画の吹き替えでは、やり方も異なるのでしょうか。

 「吹き替えは基本的にオリジナルの声があるので、それを参考にします。アニメは全くない状態から『しっくりきて、ぐっとくる』ベストの声を探ります。ゾロリに関しては、メーンキャラクターで喜怒哀楽を表現しなければならないので、あまり声を作っていません」

 −山寺さんは以前、「安易にタレントや著名人を声優に起用すべきでない」という趣旨の発言をしています。

 「発言がネット上で独り歩きして困っています(笑)。声優が本業でなくても、素晴らしい仕事をしている人はたくさんいます。僕が伝えたかったのは、吹き替えは作品の添え物なんかではない、作品の良しあしを左右する大変な仕事なんだということです」

 −今や声優は人気職業の一つで、養成機関は若者でにぎわっています。

 「皆がやりたいと思う仕事ができるのは幸せですね。ただし、人気があって常に忙しい人はほんの一握りで、何年やっても日の目を見ない人が圧倒的多数です。僕はデビューして三十年弱になるんですが、現場で鍛えられてきたので、今だったらきっとうまくいかなかったでしょう」

 −声優を目指す人たちにアドバイスをお願いします。

 「これは難しいですね。僕自身は仕事をもらったら、後でほかの人にした方がよかったといわれないよう、自分にプレッシャーをかけて取り組んできました。チャンスをつかんだら離さない、一つ仕事をもらったら、それをきっかけに新たに二つ仕事をもらう、そんな心構えです。ゾロリの声も、僕よりもっとうまくできる声優がいたら、交代させられても仕方がないと思っています」

<やまでら・こういち> 1961年、宮城県生まれ。大学時代は落語研究会に所属し、地元の企業CMなどに出演。卒業後、声優を目指して俳優養成所に入所。85年にアニメ「メガゾーン23」でデビュー。声優としてアニメのアフレコや洋画の吹き替えを担当する一方、97年からはテレビ東京「おはスタ」のメーン司会者を務め、「山ちゃん」の愛称で子どもたちに親しまれる。ほかに俳優、ラジオのDJ、歌手など、さまざまな分野で活躍。多彩な声色から「七色の声を持つ男」と呼ばれ、声優が選ぶランキングでは何度も声優第1位に選ばれている。主な出演作にディズニーアニメ「アラジン」のジーニー役、ドナルドダック役、映画「マスク」のジム・キャリー役、テレビ「アンパンマン」のチーズ役など。

 

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