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【政治】

「石破発言」批判集中 秘密暴く報道の自制 連日要求

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 自民党の石破茂幹事長が、特定秘密保護法によって指定される「特定秘密」を報道機関が報じることを控えるよう繰り返し求めている。報道によって国民に危害が及ぶ危険性があることを理由にしているが、専門家は「報道するかどうかは、報道機関が自ら判断するべきものだ」と指摘している。 (宮尾幹成)

 石破氏は十一日の日本記者クラブでの会見で、特定秘密に関する情報を取材によって入手した報道機関が報道することについて「抑制が効いてしかるべきだ」と発言し、暗に自制を求めた。その後、記者団に「報道機関に抑制を求めてはいない」などと釈明した。

 十二日のラジオ番組でも「(報道によって)大勢の人が死んだとなれば『それはどうだろう』となる」と指摘。報道がテロなどを起こす可能性がある場合には報道するべきではないとの考えを示した。

 石破氏は、特定秘密について「外部に出た場合には、国家の平和と安全に重大な影響を与えるとして厳選されたものだ」と自らの主張に理解を求める。

 ただ、秘密保護法の問題は、政府が秘密の範囲を意のままに拡大しかねない点だ。

 田島泰彦上智大教授(メディア法)は「真に安全保障に影響する情報かどうかは、報道機関が主体的に検証するべきものだ。影響力のある与党幹部が、報道させない方向で意見を言うのは、恫喝(どうかつ)のような響きが感じられる」と石破氏を批判する。

 民主党の大畠章宏幹事長は十二日の記者会見で「(特定秘密の報道は)抑制的であるべきだとの認識を持つとすれば、国民の知る権利、報道の自由はどうなるのか、非常に混乱を来す」と述べた。

 石破氏は、秘密保護法や脱原発を訴える国会周辺などのデモを「テロ」と同一視する発言をして撤回したばかり。報道に自制を求めることは国民の「知る権利」を損なう恐れがある。石破氏の一連の発言は、国民の権利よりも国家の機密を重視する安倍政権の姿勢をさらに鮮明にした。

 

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