地元、あきらめと反発　京丹後の米軍レーダー、１４年に設置

隣接地に米軍Ｘバンドレーダーが配備される予定の航空自衛隊経ケ岬分屯基地（京丹後市丹後町）　

　小野寺五典防衛相は１２日午前、東京都内で講演し、弾道ミサイルを正確に追尾できる高性能の米軍「Ｘバンドレーダー」が２０１４年中に京都府京丹後市の航空自衛隊経ケ岬分屯基地内に設置されるとの見通しを明らかにした。「来年にレーダーができ、日米に情報が送られる」と述べた。基地予定地の地権者からは「国が決めたこと」とあきらめの声が漏れる一方、反対派住民は「懸念が多く、早すぎる」などと反発の声を上げた。また、識者は「抗議行動などが特定秘密保護法で処罰の対象になりうる」と危惧した。

　レーダー配備予定地には約５０人の地権者がいる。その１人の６０代男性によると、防衛省は１１月に土地利用について各地権者の同意書を取り、個々に賃借契約の締結を進めている。「国が決めたことで、もう契約する以外にしようがないというのが多くの地権者の気持ちだ」と話した。

　予定地近くの袖志地区の農業男性（６６）は「米軍宿舎の建設地もまだ決まっておらず不安だが、住民を守る治安確保や農地対策など地域振興に役立つ事業を早く具体的に示してほしい」と望んだ。

　基地予定地周辺の反対派の住民でつくる「米軍基地建設を憂（うれ）う宇川有志の会」の代表、三野みつるさん（６５）は「９月の受け入れ表明後、市や防衛省から地元に何の説明もない。配備時期の表明は早すぎる」と憤る。

　設置反対を掲げ、１５日に京丹後市役所を取り囲む「人間のくさり」を計画していた矢先で、「米兵による犯罪への懸念など不安は尽きない。地権者だけの問題ではない」と訴えた。

　地元の治安対策や道路整備を条件として受け入れを表明した京都府の山田啓二知事は「とにかく防衛省は、われわれが要請している条件をしっかり守り、地元の理解を十分に得ながら進めるべきだ」と注文を付けた。設置時期について「初めて聞いた。あくまで小野寺防衛相の希望では」と述べた。

　また、米軍基地問題に詳しい龍谷大の松島泰勝教授（沖縄経済論）は、特定秘密保護法との関連を挙げ、「大臣発言は秘密保護法の成立を待ってましたとばかりのタイミング。住民の反対運動を抑制したい政府の意図を感じる」と指摘。「沖縄のように基地周辺で住民が監視活動や抗議行動をすれば、秘密保護法で処罰の対象になりうる。沖縄では長年の住民による反対運動によって米軍基地が縮小された例もあるので、今後も法の廃止を求める声を盛り上げていかなければならない」と話した。

【 2013年12月12日 15時20分 】