良い損切りと悪い損切り

 損切りはするべきだという意見はよく見かける。

 しかし、損切りにも種類がいろいろとあり、どんな損切りでもよいとは思わない。

 では良い損切りとは何かと言えば、先ず頭に浮かぶのは①想定外の損失が生じた場合、②売買判断が変わったために決済したときに結果的に損失が出た場合などである。

 戦略を立てるとき、私は利益確定や損切りを戦略に含めることを好まない。

 利益確定や損切りを戦略に含めると、どこで利益確定するか、損切りするかを決めなければならなくなる。

 つまり、パラメータが増えることになる。

 パラメータの増加はシステムを複雑にし、カーブフィッティングの元である。

 バックテストの良い結果が将来の良いパフォーマンスを必ずしも保証するわけではないが、カーブフィッティングされたバックテストなどは余計に信じるわけにはいかない。

 そこで利益確定や損切りを含まない戦略を立てるのだが、実際のトレードで運用する場合、バックテスト上での最大損失を少し超えたラインで損切りするというのは1つのやり方である。

 仮に戦略にこのような損切りを含ませてから再びバックテストしてもバックテスト上では損切りラインに到達しないので、結果は変わらず、一応、元の戦略と同じと考えてもいい。

 当然、実際のトレードではバックテストを超える損失が生じることもありうるので、そこでは想定外のことが生じたと考えて損切りし、いったん撤退することにする。

 pipsまたは変化率ベースの損失幅は大きくなりがちだが、ポジションサイズを反比例させて小さくすれば、金額ベースでは大きくならない。

 このような損切りならば良い損切りと考えてもいいと思う。

 また、例えばこれまでの相場は買い有利と考えて買いポジションを保有していたとき、判断が売り有利に変わったならば、その買いポジションを決済して売りポジションを持つことになる。

 その買いポジションが利益の出ている状態であれば、その決済は利益確定になり、損失の出ている状態であれば損切りになる。

 売買の判断が変わった以上、新しい判断に反するポジションは決済するのが当然で、それが結果として損切りになったとしても、それは良い損切りだと私は考える。

 その売買判断が正しい限り、そこで損切りしなければ、損失はさらに拡大するだろうからである。

 では、悪い損切りとは何かというと、①単に損失金額の大きさを恐れて損切る場合、②バックテストを行わず、適当な幅で損切りを設定する場合だと考える。

 もしバックテストを行っているなら、最大の損失金額を想定できるはずである。

 実際の損失金額が想定を超えているわけではなく、売買の判断も変わっていないのに、損失金額の大きさを恐れて損切るのは理に適った行動ではない。

 想定内の損失金額に恐れを感じるというのは要するにポジションのサイズが大きすぎるのである。

 こういう場合はサイズを調整すべきであって、システムが求めていないラインで勝手に損切るのはおかしなことである。

 もし、その戦略が利益を出しうる戦略であるなら、往々にして損切った後に相場が反転したりして、損失を減らす、あるいは利益を得る機会を失い、かえってその戦略のパフォーマンスを下げることになる。

 さらに良くないと思うのは、そもそもバックテストをせずに、単にこれ以上は負けたくないという理由で適当な幅の損切りラインを設定することである。

 もしそのストップ幅でバックテストを行い、勝てそうな戦略を見出したならば、そのストップ幅にも一応の理由はあるだろうが、バックテストも行わずに願望で設定したストップ幅に理由などあろうはずがない。

 相場がトレーダーの願望通りに動いてくれるわけはなく、いわゆる損切り貧乏に陥るだけだろう。

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