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| 【群馬】「知る権利奪う」反対の声やまず 秘密保護法「反対」の声がやまない。与党が強行可決した特定秘密保護法。「暴挙」「許せない」。原発事故からの避難者や平和運動をしている市民、弁護士がそれぞれの立場から語った。 
 ◆「チェルノブイリ」再現危惧 福島県から避難 丹治杉江さん(57)東京電力福島第一原発事故の発生時、約三十四キロ離れた福島県いわき市に住んでいた。被災者の健康に影響する放射性物質の情報の発信が遅れたり、隠されたりした。法の成立で原発事故による健康情報だけでなく、食品や廃炉、除染の情報も隠されないか心配だ。 仕事のワープロ修理業は全国から注文があるが、福島に対する風評被害があり、二〇一一年七月に出身地の伊勢崎市に近い前橋市へ自主避難した。 脱原発の思いから昨年、原発事故があったチェルノブイリ(ウクライナ)に行った。人々は今でも放射性物質の影響に苦しんでいる。情報隠蔽(いんぺい)が原因だ。事故の情報隠しを風化させてはならないと、自分も参加するいわき市の市民団体は福島県内の被災者の最近の姿を撮ったDVDを作った。 法に反対するデモや勉強会に参加してきた。法案に関する衆院の地方公聴会が先月、福島市であり、出席した七人全員が反対したのに成立させたのは、被災者として絶対に許せず、納得できない。 (菅原洋) ◆戦前に逆戻りでは 利根沼田 平和委員会会長 佐藤卓三さん(71)国民の知る権利、表現や報道の自由を危うくする悪法だ。国民の目、口、耳をふさぎ、戦争を放棄した、世界に誇る平和憲法の九条を改定し、国防軍を作って日本を戦争のできる国にしようという魂胆が透けて見える。 国民の反対が多いのに、世論や国会を軽視して強行採決に踏み切ったことは暴挙と言わざるを得ない。戦前の暗黒時代に逆戻りしないか心配だ。 みなかみ町は関東で唯一、米軍の新型輸送機オスプレイ訓練の「ブルールート」に含まれるとされる。送電線も張り巡らされ、低空飛行は危険なのに、防衛機密として情報が伝わらなければ、安全性について住民の不安は募る一方だ。 私たちが、いま危険性を訴えなかったら、日本は夢も希望もない国になってしまう。若者たちは日本から出て行ってしまうのではないだろうか。 (山岸隆) ◆刑事法の原則逸脱 弁護士 杉原信二さん(68)暴挙としかいいようがない。国民が知るべき情報が隠されてしまえば、民主主義の破壊につながる。法律自体が表現の自由を侵害しており憲法違反だ。 特定秘密を漏らしたとされる人を弁護する時、弁護士は秘密の内容を知らないまま弁護しなければならない。隠す必要のなかったものではないか、という弁論もできない。この法の規定は曖昧で幅広く解釈できる。どういうことをしたらどう処罰されるかは明確であるべきだ、という刑事法の大原則に反する。国の狙いは裁判前の段階だろう。疑いの段階で捜査さえできればよいのだから。情報源が捜査されかねない、となれば報道機関は萎縮する。重要情報が国民に知らされなくなるだろう。 監視する第三者機関を作るというが、行政から独立した存在でなければ意味がない。法が適用されないようにしないといけない。 (伊藤弘喜) PR情報 
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