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陸忠偉 |
中国の多くの研究者は、北朝鮮が核開発問題を突然持ち出したことについて、北朝鮮外交の調整とみている。「瀬戸際外交」によって対米関係の扉を押し開け、国家の安全度を高め、安全保障環境を改善しようとしている。これは90年代以降の北朝鮮外交のポイントである。
だから現在の北朝鮮の核問題(の本質)は軍事問題ではない。安全保障にかかわる外交問題、国民に腹いっぱい食べさせる経済問題、そして体制そのものを維持していく政治問題が軍事問題にならないようにするためにどうするか。これこそワシントン、東京、ソウル、そして北京が慎重に考えるべき課題だ。
中国の改革開放は23年が経過した。社会主義体制の国での改革にはイデオロギー分野の変化が最重要だ。「社会主義とはなにか」などに関する中国でのイデオロギー分野の革命が北朝鮮にはまだ起こっていない。
経済分野では、これまでに流通分野の価格体系改革や賃金の引き上げを行った。中国でいえば85年ごろの状況にあたる。そのころから中国では店頭での消費財が増え始めたが、北朝鮮のデパートにはまだ何もない。それは外貨不足などによる消費財生産設備の未整備が大きく、当面北朝鮮ではインフレが一層ひどくなるだろう。また官僚集団が利益を握る「灰色経済」が深刻化しそうだ。
中国では伝統的計画経済からの移行はWTO(世界貿易機関)加盟で完了したが、北朝鮮のそこまでの道はまだとても遠い。中国が日米欧と関係を正常化したqナ年代当時と比べ、北朝鮮は国際環境にも恵まれておらず、北朝鮮が直面している状況はとても困難だ。
核やミサイル、大量破壊兵器の拡散に対し、中国は強く反対する。だが、ムラの一員である中国、日本、韓国が直面しているのは、貧しい北朝鮮の経済をいかに活性化させるかである。
北朝鮮の改革開放の道のりはとても遠いが、投資、エネルギーなどの分野で北朝鮮に援助を提供し、その漸進的な対外開放、経済体制調整を促進し、北東アジアの安保と経済協力に参入させること。つまり、まず北朝鮮という国を我々のムラの一員として迎え入れるべきである。