2人死刑執行 安倍政権で8人に12月12日 9時50分
平成20年と平成12年に大阪で金を奪う目的で会社員の男性と中国人留学生の女性を殺害し、強盗殺人などの罪で死刑が確定した死刑囚ら、2人の死刑囚の死刑が、12日午前執行されました。
安倍政権で死刑が執行されたのは4回目で、合わせて8人となりました。
死刑が執行されたのは、▽平成20年に大阪で金を奪う目的で当時30歳の会社員の男性を殺害したほか、平成12年に大阪で当時24歳の中国人留学生の女性のバッグを奪ったうえ刃物で殺害したとして、強盗殺人などの罪で死刑が確定した加賀山領治死刑囚(63)と、▽昭和61年に山梨県で別れた妻の伯母を水ぶろに沈めて殺したうえ、5日後には新潟市で別れた妻と交際があった当時26歳の男性を水ぶろに沈めて殺したとして、殺人などの罪で死刑が確定した藤島光雄死刑囚(55)の2人です。
死刑が執行されたのはことし9月以来で、安倍政権では4回目で合わせて8人となりました。
また、今回の死刑執行で、刑が執行されていない死刑囚は129人となりました。
谷垣法務大臣は、記者会見をして「いずれの事件も身勝手な理由から尊い人命を奪った極めて残忍な事案であり、被害者や遺族にとって無念この上ない事件だと思う。裁判所において十分な審理を経たうえで確定したものであり、慎重に検討を加えたうえで執行を命じた。死刑について批判はあるが、日本では法定されているし、国民の支持もあると思うので、現状で死刑を維持していくことに変化を迫る情勢はない」と述べました。
死刑執行された2人とは
加賀山領治死刑囚は裁判では「殺意はなかった」と主張しましたが、1審と2審はいずれも死刑を言い渡し、最高裁判所は去年7月に「2人の命を奪った結果は重大だ」と上告を退け死刑が確定していました。
また、藤島光雄死刑囚は、1審と2審はいずれも死刑を言い渡し、最高裁判所は平成7年に「6日間に2人の命を奪い、犯行の手口も残虐だ」として上告を退け、死刑が確定していました。
死刑執行は去年上回る
死刑が執行されたのはことしに入ってから合わせて8人となり、去年を上回っています。
死刑の執行はおととしは一度もありませんでしたが、去年は7人に対して執行されました。
また、ことしはこれまでに、平成16年に奈良市で小学1年生の女の子を下校途中に連れ去って殺害した罪に問われた死刑囚や、平成20年に茨城県のJR常磐線荒川沖駅で通行人などを包丁やナイフで斬りつけ1人を殺害し7人にけがをさせる罪に問われた死刑囚など、6人に対して死刑が執行されていました。
今回の死刑執行はことし4回目で、執行された死刑囚の数は合わせて8人と去年よりも多くなりました。
執行の判断基準は不明
12日に死刑が執行された2人は、判決の確定から執行までの期間が1人は1年4か月だったのに対し、もう1人は18年6か月と、大きな差がありました。
法律は死刑の確定から6か月以内に執行するよう定めていますが、法務省によりますと、平成15年から去年までの10年間で、刑の確定から執行までは平均で5年7か月となっています。
刑が確定してから40年以上がたっても執行されていない死刑囚がいる一方で、確定から1年たたないうちに執行されたケースもあります。
12日の執行について谷垣法務大臣は会見で、「犯罪事実に疑いがないかや、再審請求中などの事情があるかなどを検討して事務方が決めたものを自分でも記録を読んで判断した」と述べました。
しかし執行の順番や時期をどのように決めているのか具体的な判断基準については「答えを差し控える」として明らかにしませんでした。
日本では死刑囚の心情を害するおそれがあるなどとして死刑囚に関する情報はほとんど公開されておらず、国連の人権理事会は日本など死刑制度がある国に対して、情報の公開を求める決議を採択しています。
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