避難区域でイノブタ繁殖か 被害も12月12日 4時22分
原発事故の影響で今も住民が避難を余儀なくされている福島県の5つの自治体で、取り残された家畜のブタが、野生のイノシシと交配して生まれたイノブタとみられる動物が繁殖していることが分かりました。
一部の地域では、住宅を荒らすなどの被害が相次ぎ、国は、住民の帰還に影響が出るおそれがあるとして対策に乗り出しました。
原発事故のために福島県の一部の自治体では避難区域が設定され、今も住民の避難が続いていますが、これらの区域では事故のあと、うしやブタなどの家畜が取り残され、野生化していることが問題となっています。
このためNHKでは、避難区域を抱える福島県の11の市町村に取材したところ、5つの市と町で、家畜のブタと野生のイノシシが交配して生まれたイノブタとみられる動物が繁殖していることが分かりました。
このうち、富岡町では、住宅内や納屋に入って食べ物をあさったり建物を壊したりする被害がこれまでに17件報告されているということです。
環境省によりますと、イノブタは年間10頭前後の子どもを生むなどイノシシに比べ、繁殖力が強いということです。
避難区域では住民の帰還に向けた除染作業などが行われていますが、さらにイノブタの繁殖が進めば帰還に影響がでてくるとして、環境省は、先月中旬から駆除を始めたほか、地元の猟友会も駆除を進めていて、復興に向けて作業を加速させたいとしています。
避難区域の現状は
福島県富岡町の避難区域内に、日中、一時的に立ち入りをして取り残された牛の世話をしている坂本勝利さんは、数か月前からイノブタとみられる動物に牛舎を荒される被害に悩まされるようになりました。
坂本さんの牛舎には何頭ものイノブタの姿が見られ、牛舎の中も歩き回って牛のそばで悠々と餌を食べていました。
坂本さんは「このままあと2、3年したら大変なことになってしまうのではないか。イノブタに我慢するのももう限界にきています」と話していました。
一方、富岡町の避難区域に自宅があり、今は町の外に避難している松村直登さんは、自宅がイノブタとみられる動物の被害に遭いました。
松村さんの自宅は玄関の引き戸が開けられ、中にはイノブタとみられる足あとや食べ物をあさったような跡がありました。
松村さんは、「もう早く対応してもらえないと、イノブタは延々と増えて手遅れになりかねない。住宅が荒らされれば、住民たちはこんな家に帰りたくないと思って、帰還するのが嫌になってしまうのではないか」と話していました。
専門家は
福島県自然保護課の溝口俊夫野生動物専門員は、「イノブタの嗅覚は、人間の1万倍から2万倍と発達していて、屋内から食べ物のにおいがすれば鼻の力で扉やシャッターを簡単に壊してしまう。避難区域では広大な地域がいわば無人化されているかつてない事態が起こっているので復興を進めるうえでは捕獲と同時に、人が住むエリアの回りを電気柵で囲うなどの防止策が必要不可欠だ」と話しています。
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