秘密保護法:制度整い次第施行…首相が意向表明

毎日新聞 2013年12月09日 21時56分(最終更新 12月09日 22時55分)

記者会見に臨む安倍晋三首相=首相官邸で2013年12月9日午後6時13分、木葉健二撮影
記者会見に臨む安倍晋三首相=首相官邸で2013年12月9日午後6時13分、木葉健二撮影

 安倍晋三首相は9日、臨時国会の閉会を受けて首相官邸で記者会見した。国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法について、首相は「秘密が際限なく広がる、(国民の)『知る権利』が奪われる、通常の生活が脅かされるといったことは断じてあり得ない」と強調。「公布から1年を超えない範囲内で定める」と規定された施行期日は「1年ありきでもない」と述べ、秘密の指定や解除に関する統一的な運用基準など制度設計が整い次第、施行に踏み切る意向を示した。

 ただ、政府・与党が国会で秘密保護法の成立を強行したことへの批判はなお強く、首相は「厳しい世論は国民の叱責だと謙虚に受け止めなければならない。私自身がもっと丁寧に時間をとって説明すべきだったと反省もしている」と表明。「今後とも国民の懸念を払拭(ふっしょく)すべく、丁寧に説明していきたい」と述べた。

 そのうえで「この法律によって、首相は今後、特定秘密を(専門家による新設の)情報保全諮問会議に毎年報告しなければならない。今までのように首相が知らない秘密はあり得ない」と述べ、秘密の指定や解除の適正化に積極的に関与する考えを示した。

 さらに、政府が特定秘密保護法と「車の両輪」と位置付ける国家安全保障会議(日本版NSC)について、首相は、事務局となる国家安全保障局の初代局長に谷内正太郎内閣官房参与(元外務事務次官)を起用する方針を正式に表明。「(NSCを)外交・安全保障政策の司令塔として最大限活用する。国家安全保障局を年初にも発足させ、谷内氏には直ちに世界を飛び回ってもらう」と述べた。

 首相はまた、臨時国会を「特定秘密保護法ばかりが注目されたが、まさに『成長戦略実行国会』と呼ぶにふさわしい国会になった」と総括。臨時国会で成立した産業競争力強化法に基づき、制度改革とその実施期限、担当相を明示した3カ年の「実行計画」を年明けに閣議決定する方針を示した。

 昨年12月の首相就任以来行っていない靖国神社への参拝を巡っては、「靖国神社に参拝するか否かについては、今言うべきではない」と答えるにとどめた。【中田卓二】

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