武器輸出三原則:新原則の策定時期 来年へ先送り

毎日新聞 2013年12月10日 21時28分(最終更新 12月10日 23時38分)

 政府は10日、外国への防衛装備品輸出を禁じている武器輸出三原則を見直し、新たな原則を策定する時期について、当初想定していた年内から来年に先送りする方針を固めた。新たな原則では、一部の例外を除き輸出を全面的に禁じた現行の措置を改め、一定の条件を付けて解禁する見通しだが、武器や技術の第三国への流出防止策づくりや、慎重な検討を求める公明党との調整に時間が必要だと判断した。

 武器輸出三原則は、1967年に当時の佐藤内閣が(1)共産国(2)国連決議で武器輸出が禁止されている国(3)紛争当事国やそのおそれのある国−−への輸出を禁じたのが始まりで、後にその他の国への輸出も「慎む」とされた。ただ、近年は武器の国際共同開発が主流になっているほか、国際平和協力活動の一環として他国から装備品の提供を求められることもあり、政府は個別の案件ごとに三原則の「例外」を認めて対応してきた。

 政府は17日にも閣議決定する国家安全保障戦略に「新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定める」と明記し、現行の三原則を見直す考えを打ち出す。政府・与党は同戦略に基づき、現行の三原則のうち輸出を全面的に禁じている部分を削除。改めて「国際紛争の当事国」への輸出禁止などを盛り込んだ新原則を掲げる方向で検討している。

 10日に開かれた自民・公明両党の安全保障プロジェクトチーム会合では、公明党側が三原則見直しについて慎重な検討を求め、自民党側も了承。座長代理を務める公明党の上田勇衆院議員は会合後の記者会見で「三原則は外交上評価されている部分もあり、その趣旨を生かしながら新たなルールをつくっていく」と述べた。【朝日弘行、青木純】

最新写真特集