秘密保護法:諮問会議 来月発足へ人選 長谷部氏ら中心に

毎日新聞 2013年12月11日 07時45分

 政府は10日の閣議で、国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法を13日に公布することを決めた。これを受け、特定秘密の指定・解除や、公務員らの適性評価に関する運用基準の策定作業に着手するため、「情報保全諮問会議」(仮称)のメンバーに長谷部恭男東京大大学院教授(憲法)らを起用する方向で調整に入った。長谷部氏をはじめ国会審議で同法の必要性に理解を示した有識者を中心に人選を進めており、陣容が「政権寄り」に偏る可能性がある。

 情報保全諮問会議は、首相が運用基準案を策定する際に外部有識者の意見を聞くため設置される。情報保護、情報公開、公文書管理、報道、法律の専門家で構成する予定で、政府は長谷部氏のほか、春名幹男早稲田大客員教授(インテリジェンス)、元外交官の宮家邦彦立命館大客員教授(外交)、前田雅英首都大学東京法科大学院教授(刑事法)らに打診を始めている。

 先の臨時国会で、長谷部、春名、前田3氏は衆院国家安全保障特別委員会で与党推薦の参考人を務め、特定秘密保護法の必要性に理解を示している。このほか、政府は内閣官房の「情報セキュリティ政策会議」委員からの起用も検討している。一方、日本弁護士連合会や日本新聞協会、日本民間放送連盟は同法への反対を鮮明にしており、報道、法律分野の人選は進んでいない。

 同法の施行日は「公布から1年を超えない範囲内」と規定されている。菅義偉官房長官は10日の記者会見で「国家安全保障会議(日本版NSC)を効果的にするために、可能な限り早期(施行)ということが重要だ」と述べ、安倍晋三首相の9日の記者会見よりさらに踏み込んだ。首相は10日、自民党役員会で「世論が厳しいことはよく認識している。誤解を解くようにしたい」と改めて表明したが、来年1月に本格稼働するNSCを軌道に乗せるため、政府が同法の施行を急いでいるのは明らかだ。

 政府は情報保全諮問会議を来年1月に発足させる方針。【木下訓明】

最新写真特集