厚生労働省は12日、労働者の派遣制度を見直す案を示した。企業が派遣社員を受け入れる期間の上限を事実上なくし、3年ごとに人を入れ替えれば、同じ業務をずっと派遣労働者に任せられようにする。正社員の仕事が派遣社員に取られる可能性があるとして連合などは反発しているが、厚労省はこの案を軸に年内に結論を出す考えだ。
制度の見直しによって企業は派遣労働者を活用しやすくなり、派遣労働者の選択肢も広がる見通しだ。原案は有識者の意見も踏まえ12日午前の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の労働力需給制度部会に示した。年明けの通常国会に労働者派遣法の改正案を出す。
まず派遣期間に上限のない取引文書の作成やファイリングなど「専門26業務」の区分をなくす。現在は26業務以外の派遣労働者は最長3年で契約を打ち切られるが、26業務は例外で期間の制限がない。区分の廃止により、派遣労働者に任せたい業務が26業務に該当するのかどうか分かりづらかった問題を解決する。
派遣期間の上限は「業務」ごとではなく「人」ごとに変える。専門26業務以外で3年とする現在の上限は、企業が仕事を派遣労働者に任せてよい期間で、1人の派遣労働者が同じ職場で働ける上限ではなかった。上限を「人」に改めることで、企業は人を交代すれば同じ職場でずっと派遣労働者を受け入れられる。
派遣労働が正社員の雇用を代替しないように、労働者を交代する時に、労働組合に意見を聞くよう企業に求める。ただ反対意見があっても最終的には使用者の企業が判断できる仕組みで、連合などは反発している。
派遣元の派遣会社と無期の雇用契約を結ぶ人や60歳以上の高齢者は、上限なく同じ派遣先で働き続けられるようにする。一方、派遣元と有期の雇用契約を結んでいる労働者は3年働いた時点で、他の労働者と交代しなくてはならない。この時点で派遣会社に(1)派遣先に直接雇用を申し入れる(2)新たな派遣先を提供する(3)派遣会社で無期雇用に転換する――などの措置を義務付ける。派遣労働者にはキャリアアップの機会が増える半面、派遣会社の負担は膨らむ。
「届け出制」と「許可制」が併存する派遣事業はすべて許可制に移す。派遣業者には定期的な許可の更新や講習の受講を義務付ける。現在は届け出制の「特定労働者派遣事業」は行政の目が及びにくく、悪質な業者が増えたため廃止する。
日雇い派遣の原則禁止など民主党政権が決めた規制強化については企業から見直しを求める声が多かったが、今回の案には見直しを盛り込まず、引き続き審議する。
厚生労働省
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