わずか0.5のBMI数値の変更で、塗り変わった勢力図。
それは成績にどう表れたか。
象徴的だったのは、バンクーバー五輪で圧倒的な強さで2冠に輝き、ワールドカップの年間総合順位でも'09-'10年は総合1位、'10-'11年は2位と強さを誇っていたシモン・アマン(スイス)が昨シーズンは総合順位で11位に、'09-'10年は3位、'10-'11年は1位だったトーマス・モルゲンシュテルン(オーストリア)が7位にそれぞれ沈んだことだ。
かわって昨シーズン、ワールドカップ総合優勝を飾ったのは、29歳(昨シーズン時点)のベテラン、アンデシュ・バーダル(ノルウェー)であった。'09-'10年は36位、'10-'11年は14位であるから、大躍進であり、若手の成長株でもないバーダルの活躍は、予想外とも言えた。
アマンの場合、ルールの変更にあわせて体重の増加を図り、同じ長さの板を履けるようにしてシーズンに臨んだという。だが、体重の増加に対応すべき技術の修正が追いつかず、不振に終わった。
つまり、アマンなど優れた技術で活躍してきた選手はわずか0.5のBMIの変更への対応に苦しんだ。それに対して、どちらかと言えばパワー系のジャンパーであるバーダルには影響が少なかったのではないか。それが浮上できた理由だと考えられる。
高梨沙羅をはじめ、新ルールへの準備を始めた日本勢も。
些細に思える変更が大きく影響を及ぼす、それがスキージャンプという競技であり、いかに繊細な競技であるかを表してもいる。
ジャンプスーツのサイズの変更は、板が短くなったときと同様に、浮力の減少につながる。だから、進境著しい女子の高梨沙羅は、今秋の海外遠征の際、新スーツに慣れることを大きな目的にしたという。そのときはまだ再変更がされる前だったが、従来の6cmから2cmに変わるだけでも、浮力への影響は大きい。
高梨にかぎらず、昨シーズン、日本勢は、ワールドカップで4度優勝し、総合4位と活躍した伊東大貴や、しばしば入賞を果たした竹内択などが台頭し、男女ともに健闘したシーズンであった。
シーズン開幕は間近。
日本勢が新ルールにどう対応していくのか、注目されるポイントとなる。
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