女性から性別変更した男性も法律上の父と認める――。性同一性障害の人が第三者の精子提供でもうけた子供との父子関係を認める初判断を最高裁が示した。多様化する親子の実態を重視した判断と言える。ただ、5裁判官の賛否は3対2の僅差で、「議論は煮詰まっていない」との反対意見も。「家族」を巡る議論に一石を投じるのは確実だ。
2004年に性同一性障害特例法が施行され、性同一性障害の人は性別変更後の性で結婚できるようになった。一方、民法は「妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定する」と定め、血縁を戸籍上の父子関係の要件にしていないが、血縁関係がないことが明らかな場合は父子と認めない運用が続いてきた。
生まれつきの男性が不妊治療で他人の精子提供を受けた場合、行政が経緯を確認できないため、出生届を出せばそのまま実の父子として扱われる。だが、性別を変更した人は記録が戸籍に残るため、行政はこれを根拠に父子関係を認めてこなかった。訴えた夫妻は「血縁関係がないのは同じなのに不平等だ」と主張していた。
最高裁は特例法が「性別変更後は新たな性別として各種法律が適用される」と定めている点を重視。性同一性障害の人の結婚だけを別扱いする規定がない以上、生まれつきの男性と同列に民法を適用すべきだと判断した。法律の条文にシンプルに従ったといえる。
▼性同一性障害 心と体の性が一致しない違和感を持ち続ける状態を指し、専門医2人以上が診断すると認定される。正確な統計はないが、1万人に1人ともいわれ、国内に数万人いるとの見方がある。
1990年代に性別適合手術が正当な医療行為として認められ、2004年には性同一性障害特例法が施行。戸籍の性別を変えることが可能になった。変更には(1)20歳以上(2)未婚(3)未成年の子供がいない――などの条件がある。12年までに約3600人が性別を変更している。法務省によると、男性に性別変更した人の妻が出産した届け出件数はこれまでに39件。
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