重機大手2社が採算管理の徹底で資金効率の改善を急いでいる。三菱重工業は大型買収をしたうえでも2014年3月期に純現金収支(フリーキャッシュフロー)で1000億円の黒字を確保し、負債は17年ぶりに1兆円を下回る見通し。川崎重工業も黒字に転換し、負債を1割減らす。成長資金を機動的に調達できるように、確保した現金で有利子負債を減らし財務体質を強化する。
三菱重は約60の事業単位ごとに投資や現金収支を管理する制度が奏功し4期連続の黒字となる。原動機事業で過去最大の買収案件があり投資キャッシュフローは最大2000億円の赤字(前期は767億円の赤字)となるが、営業キャッシュフローは最大3000億円の黒字(同2883億円の黒字)となりそう。今期末の有利子負債は約9700億円を見込む。
川重は純現金収支が約380億円の黒字(前期は530億円の赤字)となりそう。今期末の有利子負債は前期末比1割弱減り、約4500億円となる見通し。同社も約40の事業単位ごとに管理するなど資金効率の改善を急いでいる。
多くの製品を手掛け、幅広い分野で多額の設備投資をする両社は資金効率が悪く、負債が膨らみがちだった。両社とも安定から成長への移行を模索しており、今後は航空機など成長分野で多額の資金が必要になる場面が増えそう。このためいつでも市場から資金を調達できる体制を整える。