米GMが豪州生産撤退を決定、トヨタは政府と対応協議
[シドニー/東京 11日 ロイター] - 米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N: 株価, 企業情報, レポート)が、オーストラリアでの自動車・エンジン製造から撤退することを明らかにした。GMの撤退により、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)が同国で生産を行う唯一の自動車メーカーとなる。トヨタは、サプライヤーや政府などと連携しながら今後の対応を検討していくとしている。
GMは、オーストラリア子会社GMホールデンのサウスオーストラリア州、ビクトリア州の工場を閉鎖し、2017年末までに撤退する予定。2900人の雇用に影響を与える。
GMのアカーソン会長兼最高経営責任者(CEO)は、生産撤退について「持続的な豪ドル高、高い生産コスト、小さい国内市場」などが要因になったとコメントした。
GMの決定を受け、トヨタも撤退を決めるのではないか、との観測も一部で出ている。オーストラリア製造業労働組合の関係者は11日、トヨタが生産撤退を決める公算が大きいとの見方を示した。
日本のトヨタの広報担当者は、オーストラリアからの生産撤退について「現時点でそのような予定はない」としているが、トヨタの現地法人は、GMの決定について、地場のサプライヤーやトヨタの生産体制に「前例にない圧力」になると指摘している。
トヨタは1963年にオーストラリアで生産を開始。07年には15万台近く生産したが、12年は10万1000台にとどまっている。あるトヨタ系サプライヤー幹部は、トヨタが生産を続けるかどうかは「オーストラリア政府の産業政策次第だ」と述べた。
オーストラリアでは自動車産業の生産撤退が相次いでおり、今年5月には米フォード(F.N: 株価, 企業情報, レポート)がオーストラリアの2つの部品工場を16年10月に閉鎖すると発表。三菱自動車(7211.T: 株価, ニュース, レポート)も08年にオーストラリアから撤退しており、トヨタが撤退を決めれば、同国の自動車産業は崩壊する。
オーストラリアの年間新車販売は約110万台。うち国内生産車が占める割合は4分の1以下に減少している。
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