インタビュー 訪れる世界中の国々で、言葉とハートでコミュニケーション

2013年08月22日

世界の珍獣と真っ向から闘うイモトアヤコさん。太い眉毛とセーラー服がトレードマークだ。どんな状況にも果敢に挑戦する前向きな姿勢と明るく元気なキャラクターで、子供から年配者まで広い世代に愛されている。そのパワーの源はどこにあるのだろうか。

Special Interview イモトアヤコさん
(お笑い芸人・タレント)

「受け身」な性格が功を奏し、異国でも共感できる

 「明後日から北欧へ行くと、先ほど決まったんです」と笑顔で話すイモトさん。1年の半分以上を海外で過ごし、ロケ先の国が直前に決まることは当たり前。下調べどころではなく、取りあえず現地の気温を調べて荷造りをするという。訪れる先はまさに「世界中」。南米やアフリカなど、日本とは生活環境が全く異なる国や地域も多い。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)のレギュラーとなって6年が経ち、そんな生活にもすっかり慣れた。


 「トイレもどこででもできるし、食事も何でも食べられます。ダメなのはダニ布団くらい。強いね、と言われますが、それしかない状況では受け入れるしかないんです。『郷に入れば郷に従え』ですね」


 イモトさんは自らを、「もともと受け身なタイプで、周りに流されやすい性格」だと言う。ネガティブに捉えられがちなその性格は、異文化を受け入れ、現地の人々に受け入れられるのに適していた。ブラジル・アマゾン川流域のマナウスという町では、船乗り場で働くシキーニョという男性と仲良くなった。


 「マナウスは交通の要所で、これまでに8回くらい行きました。この格好にこのまゆ毛ですからすぐに覚えられて、『また来たの?』という感じで声をかけてくれて。いつもシキーニョが一方的に話して、私はフンフンと分かっている感じで聞いています。ポルトガル語なので本当はよく分からないのですが、笑顔で共感しながら聞いていると、不思議と心が通じるようになるんですよね」


言葉はもちろん、訪れる国の文化も勉強中

 行く先々では基本的に英語を使う。ホテルや空港など、通訳に頼らずに自分の意思を伝えなければならない場面も多い。


 「飛行機は絶対に通路側に座りたいので、Aisle seat, please.(通路側の席をお願いします)は必須のフレーズです。Where is the bathroom? (トイレはどこですか)も重要ですね。南米やアフリカでは英語が通じないところも多いので、水、トイレなど、生きていくために必要な単語やあいさつを中心に、現地の言葉も覚えます」


 世界各国を訪れるなかで、さまざまな状況を目の当たりにした。国と国との関係性や国民感情、貧困問題、人種差別。日本での生活がいかに豊かで恵まれていたかを改めて感じると同時に、自分がいかに無学かを痛感したという。


 「自分の英語力のなさはもちろん、歴史や地理などの知識のなさも痛感しました。現地に行って初めて知ったこともたくさんありました。南米でスペイン語やポルトガル語が話されていたり、アフリカでフランス語が通じたりする背景には植民地化という歴史があるのだということを、恥ずかしながら知りませんでした。もっと勉強をしておけばよかったと反省しつつ、今は世界のことをもっと知りたいと思うようになり、分かりやすく解説した本などを読んで少しずつ勉強しています」


どんなことも、必ず1回はやってみる

 イモトさんの強みは、そのどんなことにも挑戦する姿勢だ。これまでも危険な動物と触れ合ったり、過酷な自然環境の中を冒険したりと、さまざまな企画をこなしてきた。


 インドネシアではコモドドラゴンに追い掛けられ、ウガンダではナイルワニと綱引きで戦い、ロシアではアムールトラを探して旅をした。 「やれと言われたらやります。断ってもいいんだよと言われることもあるんですが、自分の中で『2回目からは断ってもいい。でも、必ず1回はやってみよう』と決めているので、取りあえずやります。1回やってみてダメだったら、2回目は断る権利がある。でも、食わず嫌いでは、出会いのチャンスを逃してしまうと思うんです」


 番組の企画ではバンジージャンプなどに挑戦してきたが、実は高所恐怖症だという。ジェットコースターも大の苦手で、プライベートでは遊園地などには一切行かない。


 「仕事だから、がんばれます。自分が勇気を出して挑戦しなければ、スタッフの方々に迷惑をかけるし、『珍獣ハンター・イモトアヤコ』を応援してくださる視聴者の皆さんの期待を裏切ることにもなりますから」


得意だった英語の必要性を今になって痛感

 イモトさんは、鳥取県で生まれ育ち、高校までを過ごした。幼い頃から体を動かすのが大好きで、中学校では陸上部、高校ではハンドボール部に所属。部活を中心とした中高生時代を送った。中学生の頃に一番好きだった教科は英語。「体育と英語だけは成績が良かった」と言い、校内オーディションで選ばれて地域の英語弁論大会にも出場するほどだった。


 「もっと英語の勉強がしたい」と、高校では英語に重点を置くコースを選んだ。しかし、そこに集まっていたのは、自分より英語が得意な生徒たち。自信をなくし、英語への興味関心は次第に薄れていった。


 「世界を飛び回るようになり、英語の必要性を痛感しています。今は、中学校レベルの英語とジェスチャーとハートで何とかコミュニケーションをとっていますが、もっとしっかり英語を勉強しておけばよかったなと心から思います」


人に言えないほど大きな夢を描いてほしい

 小学生の頃から「有名人になってテレビに出たい」と思っていたが、その夢を誰にも言えずにいた。中高生時代もこの夢を持ち続け、歌手の安室奈美恵やSPEEDに憧れていたという。


 「私の場合は、『~になりたい』という願いではなく、『~になった』という想定で生活するんです。思い込み、妄想です。強く信じれば、いつか現実になる。そう信じています」


 高校卒業後は大学進学を口実に上京し、大学に通いながら密かにタレント養成所にも通っていた。そして、親にも告げず、そのままその事務所に所属した。長年の夢がかなったのは、大学4年生のとき。日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』のレギュラーが決まったのだ。


 「親は私が普通に就職活動をしていると思っていたので、異国で大トカゲと競争している娘をテレビで見て、とても驚いたと思います。今では認めてもらい、応援してくれています」


 その後は「24時間テレビ」(日本テレビ)のチャリティーマラソンランナーに選ばれ、見事完走。お茶の間でも子どもから年輩者にまで知られる存在となった。現在ではバラエティー番組だけでなく、テレビCMやドラマにも出演し、活躍の場を広げている。しかしイモトさんは、「今の自分はまだ全然ダメ。満足していないし、もっともっとがんばりたい」と語る。


 「中高生の皆さんには、たとえ人に言えなくても、大きな夢を描いてほしいと思います。実は私は今でも、人に言えないようなものすごい妄想をしているんです。強く思い描いているので、20年後くらいにはかなっているはずです」


 今後は芝居などいろいろなことに挑戦して自分を高めていきたいというイモトさん。『珍獣ハンター』としてだけでなく、どのような顔を見せてくれるのか、その活躍が期待される。


イモトアヤコ

1986年1月12日生まれ。鳥取県出身。お笑い芸人・タレント。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)のレギュラーに抜擢され、珍獣ハンターとして人気を博す。CMやバラエティーで活躍を続ける一方で、24時間テレビのチャリティーマラソンランナーやドラマにも挑戦中。身長158cm。血液型O型。

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