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【家庭医が教える病気のはなし】(28)学生に教えられた医学研究の本質
2013.11.5 08:55
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私は開業医ですが、大学で時々、根拠に基づく医療(EBM)について学生に講義をします。先日、東大医学部4年生にした講義では、ディオバンの論文捏造(ねつぞう)問題を取り上げました。
繰り返しになりますが、高血圧の薬にはいろいろな種類があり、ディオバンと同様の効果を持つ安価な薬はたくさんあります。しかし、ディオバン問題が起こった後、ディオバンよりさらに高価な薬への変更が主流でした。また、ディオバン問題では論文捏造が指摘される前から研究のやり方に明らかに問題がありました。こうしたことを説明し、これから医師になる学生にそれぞれの責任や役割を考えてほしい。こんな内容です。
授業を終え、何人かの学生から個別に質問を受けました。そのうちの一つは「研究方法の問題点が明らかになっているのに、なぜ高血圧学会はそれをきちんと指摘しないのか。なぜ、そんな問題が明らかでありながら、ランセットのような一流誌に掲載されるのか」というものでした。
医療界に詳しい人は即座に答えるでしょう。「学会理事が研究費をもらっていたり、雑誌だって広告費が重要な収入源だったりするからだよ」と。そしてその陰で、「そんなことも分からないのか。学生だから仕方ないとはいえ、そんな幼稚なことでは困るな」みたいなことを思うかもしれません。
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