安倍晋三首相は9日夕、臨時国会の閉会を受けて首相官邸で記者会見し、特定秘密保護法成立が拙速だとの批判に対し「私自身がもっともっと丁寧に時間をとって説明すべきだったと反省している。今後とも国民の懸念を払拭(ふっしょく)すべく丁寧に説明していきたい」と語った。ただ、会見は30分間弱で終わり、国民の「知る権利」をどう守るかや秘密指定の恣意(しい)性をどう防ぐかなどについての具体的な説明はなかった。

 首相は、知る権利を侵害する懸念について「通常の生活が脅かされることは断じてあり得ない。今ある秘密の範囲が広がることはない。報道などで友達から聞いた話をブログで書いたら民間人でも厳罰とか、映画などの自由な創作活動が制限されるということは決してない」と語った。

 首相は会見で秘密の指定、解除、保全のルールができたとして「格段に透明性も責任も明確になる」と語った。だが、新設する「保全監視委員会」や「情報保全監察室」といったチェック機関について、官僚が指定する秘密の妥当性を官僚自身がチェックすることで透明性をどう確保できるのか、など具体的な説明はなかった。