警察庁は11日、国内外の治安情勢を分析した2013年版の「治安の回顧と展望」をまとめた。極端な民族主義・排外主義的な主張に基づいて活動する団体について、「右派系市民グループ動向」として初めて項目を立てて言及。「引き続き反対勢力とのトラブル、違法行為の発生が懸念される」と指摘した。

 右派系市民グループは、インターネットを通じた呼びかけに応じた人たちを中心にデモや集会を展開している。「回顧と展望」では団体名を挙げるのを避けつつ、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)による反対グループとの暴行事件を取り上げた。

 在特会は「韓国人は帰れ」などのヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)を繰り返すデモで知られる。これらのグループの動向について、警察庁幹部は「活動が広域化し、動員数も増加傾向にあるが、右翼と違い、団体数や人数をつかみづらい」と説明。対立団体の動きも今年に入って活発になり、街頭での双方のトラブルが目立っているという。

 「回顧と展望」は12日から、同庁のサイト(http://www.npa.go.jp/)でも初めて公表される。