「フェアプレー」と「スポーツマンシップ」は違うそうだ…
「フェアプレー」と「スポーツマンシップ」は違うそうだ。スポーツ関連の著作が多い広瀬一郎さんは、前者を「プレー中に守るべき考え方や態度」、後者を「スポーツマンがとるべき最も基本的な態度を促す理念」と定義する
▼ルールを守って正々堂々と戦うのがフェアプレー。その上で、敗者は勝者をたたえ、勝者は敗者を思いやり、審判や試合を支えるすべての人に敬意を払うことがスポーツマンシップなのだという
▼先週、福岡市で開かれたフィギュアスケートの国際大会で、どきりとした。選手が転ぶと会場から拍手が起こるのだ。「マナーが悪いな」と思いかけて、不明を恥じた
▼選手が素早く立ち上がり演技を再開しようとする。その瞬間をとらえた励ましの拍手だった。日本、外国の区別なく、国家関係がぎくしゃくしている中国の選手にも温かい応援。選手だけでなく、観客にもいいものを見せてもらった
▼翻ってわが日々のスポーツ観戦。ひいきのチームが負ければ選手や監督をこき下ろし、勝てば相手を見下す。敵の好プレーは残念で、失策には「やった!」とほくそ笑む。何と器が小さいことか
▼日本人大リーガーの草分け、野茂英雄さんは、ファインプレーには敵味方を問わず惜しみない拍手を送る米国のファンに「感動して鳥肌が立った」という。スポーツマンシップを選手と観客が共有すれば、スポーツはもっと楽しくなりそうだ。
=2013/12/11付 西日本新聞朝刊=