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青森と原子力の関係解説 弘前大教授ら7人が検証本

「青森が置かれた現状を県外の人にも知ってほしい」と語る大坪教授

 青森県の基幹産業ともいわれる原子力と地域社会との関わりを分析したブックレット「環境・地域・エネルギーと原子力開発−青森県の未来を考える」が出版された。弘前大の研究者ら7人が専門ごとに分担執筆した。原子力に依存した従来の地域づくりを批判的に検証し、「脱原子力」による地域の自立を訴えている。

 A5判、167ページ。核燃料サイクル施設や原発が下北半島に集中するようになった歴史をはじめ、放射能や原発の基礎知識、立地に伴い多額の「核燃マネー」が国や電力業界から流入している現状、下北半島の地質環境など、多彩なテーマを全7章にわたり解説した。
 最終章の「原子力神話から自然エネルギーの未来へ」では、大学院理工学研究科の宮永崇史教授が、原子力技術の限界を指摘。弘前大北日本新エネルギー研究所の取り組みを紹介した上で、風力や地熱など青森県に豊富にある自然エネルギーを活用した地域振興を提案した。
 ブックレットは2010年後期に教養科目として開講し、現在も継続している「環境との共生」の講義内容を基にした。
 編集した教育学部の大坪正一教授(社会教育学)は「青森では核燃の既成事実化が進み、かつて反対した人もやむを得ないと認めるようになることが多い。それではいつまでたっても自立できず、カネに支配され卑屈になってしまう」と語る。
 開講後に起きた福島第1原発事故を踏まえ「原子力に頼る青森のままでいいのかということを、学生らに考えてほしかった」と語る。
 価格は1470円。全国の書店で注文販売している。連絡先は発行元の弘前大出版会0172(39)3168。


2013年12月03日火曜日

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