<2013年9月=東スポ携帯サイトより>
9月6日にベルリンで開幕した家電見本市「IFA」にて、各メーカーが発表した腕時計型の端末が話題になっている。
ソニーの「スマートウオッチ2」、韓国サムソン電子の「ギャラクシー ギア」、米クアルコム社による「Toq(トック)」、そして未発表だが米アップル社が開発を噂されている「i Watch(アイウオッチ)」などなど。いずれも無線でスマホやタブレットと連動して使い、電話やメールの着信が確認でき、動画や写真撮影機能も付くようだ。
腕時計型の端末に、どれだけのニーズがあるのかは読めないが、腕時計にアクセサリー性を求める女性よりも、かつて色々なスパイ、特撮作品に登場した腕時計型兵器にワクワクした男子にこそ妙なニーズがあるような気がする。
現在全盛のカパッと開く携帯電話(いわゆるガラケー)やスマホにしても、それを手にして動作する行為は、どちらかと言えば、かつて女子たちが憧れ、大人の女性にとって必須アイテムである鏡のコンパクト(「ひみつのアッコちゃん」では変身アイテム)に近い形状と大きさだ。腕時計型端末はまさに野郎どもが、この数十年間も憧れ、夢見続けてきた「未来のアイテム」なのだ。
腕時計型端末と聞き、年配者が圧倒的に思い浮かべるのは「ウルトラセブン」(昭和42年)に登場するウルトラ警備隊員が操る「ビデオレシーバー」だろう。平成生まれの子供たちは名探偵コナンが毎週使用する麻酔銃だろうが、私的にはセブンと同年に放送スタートした「ジャイアントロボ」に登場する、主人公・草間大作少年が腕に巻くロボの腕時計型操縦器(腕時計自体は結構、レトロなデザインだったりする)を推したい。
同じ横山光輝原作の「鉄人28号」は主題歌に「♪いいも悪いもリモコン次第~」と歌われる通り、リモコン操縦器を悪人に奪われたら最後、まさに「♪悪魔の手先」になってしまうが、ロボはそんな間違いを犯さない。なぜなら声紋認識機能により、最初に腕時計型操縦器に声を吹き込んでしまった大作少年の声しか認識しないからだ。
やや舌っ足らずな大作少年が「ジャイアントロボ、メガトンパンチだ!」と叫べば、その通りにパンチするし、「ジャイアントロボ、○△へ行け!」と命令されれば、その通りに○△へと行く。
この腕時計型操縦器という小型アイテムによって、巨大なロボが大作少年に絶対服従するという設定が、涙、涙の最終回におけるロボ制御不能→大作少年の命令に反して体内に地球を軽く木っ端微塵にする〝原子エネルギー〟を持つギロチン帝王に抱きつき、地球に激突直前の隕石だか彗星に激突するというラストシーンの感動をより大きいモノにしている。
ロボは米国内でも「JONNY SOKKO AND HIS FLYING ROBOT」なるタイトルで放送されていた。この感涙最終回は今夏公開されたハリウッド映画「パシフィック・リム」(ギレルモ・デル・トロ監督=大の日本特撮作品マニアとしても有名)にも大きな影響を与えたはずだ。
さすがに原子炉を内蔵し、そのエネルギーで動くジャイアントロボは開発も商品化もされないだろうが、大作少年がロボを操縦するきっかけとなった「声紋認識」は近い将来、腕時計型端末に搭載されることだろう。
プライバシーの塊であるスマホや携帯電話にセキュリティー機能は、これまで以上に強化されること必至。すでにスマホには音声検索機能が搭載されているし、声紋によるセキユリティーガード機能もさほど難しいモノではなくなっている。
いつの日か、声紋認識機能の付いた腕時計端末を手にした日には、大作少年が所属するユニコーン機関の秘密の合言葉「ナポレオンの切り札は?」→「ダイヤの15」なんて吹き込んでみることにしよう。