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ロイター企業調査:消費増税「影響なし」7割、財政再建が最優先

2013年 12月 10日 07:13 JST
 
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[東京 10日 ロイター] 12月のロイター企業調査によると、アベノミクス2年目の最優先課題は「財政再建」との回答が最多となる一方で、安倍晋三首相自身は「追加財政出動」や「追加金融緩和」に取り組んでいくと予想されている。

日銀が追加金融緩和すべきとする企業は1割に満たないが、6割以上が来年前半までに実施されると予想した。

消費税については、増税に伴う駆け込みと反動をならしてみれば、回答企業の7割程度が影響はほとんどないと見ていることも明らかとなった。景気面から一段の財政拡大や金融緩和が必要と考える企業は少なく、安倍首相は経済政策を長期的視点に切り替え、財政再建に取り組むべきとの指摘が目立った。

この調査はロイター短観と同時に同じ対象企業に実施、調査期間は11月22日─12月4日。回答社数は400社ベースで250社程度。

<優先課題は「財政再建」が最多、「追加緩和」は7%にとどまる>

安倍政権の1年目は異次元緩和と大規模な財政出動で景気への効果を演出したが、2年目となる14年の最大の課題は「財政再建」というのが多くの企業の見方となった。回答企業の4割弱、38%が「財政再建」を最優先課題に挙げた。

政府がすでに国費5.5兆円規模の経済対策をまとめたこともあり、「これ以上つけを次世代に回すべきではない」(電機)、「政府債務が1000兆円を超えた今こそ早急に(財政再建に)取り組むべき」(非鉄金属)とする声が多い。「一過性でない長期的な経済対策効果を維持するため」(建設)との指摘も出ている。

一方、「追加財政出動」を最優先課題に挙げる企業は26%となった。「消費増税に備えた景気刺激策」として、あるいは「再びデフレに戻りかねないから」といった理由で対応を求める声も出ている。

金融市場では日銀の追加緩和を求める声も強いが、企業からは来年「追加緩和」に取り組むべきとの回答は7%にとどまった。アベノミクスで円安・株高を演出する近視眼的な政策よりも、先を見据えた政策を求めているとみられる。

<安倍首相は再び財政・金融依存へ、企業の考えとズレ>

これに対し、安倍首相自身が実際に取り組むと予想する優先課題を聞いたところ、「追加財政出動」が41%で最も多く、「追加金融緩和」が24%と続いた。安倍首相は、3本の矢のうち、再び財政と金融緩和に依存して景気浮揚を図るとの見方が多く、日本経済の長期的再生に必要だと企業が考える道程とは、ずれが生じている。

日銀の追加緩和についても、来年4─6月までに実施されるとの見方が64%にのぼった。企業自身は優先度が低いと見ているが、消費増税への対策として政府・日銀が再び動くとみていることがわかる。

<消費増税で売り上げ落ち込まずが7割、半年後までに解消が半数弱に>

来年4月からの消費税率引き上げに伴う景気への影響について、企業の懸念はさほど大きくないことも明らかとなった。

駆け込み需要とその後の反動を通してみて、売り上げが「前年比減少する」との回答は18%にどとまり、「ならせば影響はない」との回答が61%を占めた。「増加見通し」とした企業も10%あり、7割の企業は増税の影響を懸念していない。

また増税後、どの程度の期間で売り上げが増加に転じるとみているか聞いたところ、2四半期後までに回復するとの回答が47%を占め、影響は長引かないとの見方が多かった。3四半期以上かかるとの回答は13%にとどまった。

背景として「駆け込み需要は小さい」と見ている企業が業種を問わず多く、最終財を扱う企業も「需要の先食いはさほど大きくなく、反動減の長期化はないと考える」(輸送用機器)、「落ち込むのは1カ月後、そこから持ち直すのに2カ月程度」(小売)と見積もっている。また「8%後に早い段階で10%への増税が予定されているため、反動は限定的になる」(運輸)との読みもある。

<人件費と原材料費の増加見込む、税コストは低下>

来年、負担増となるコストと軽減されるコストを聞いたところ、負担増となるのは、人件費、原材料との回答が多かった。人件費については、今年の業績改善を反映した賃金引き上げや雇用者数の増加見通しが反映されたもよう。原材料費には電気代は含まれないが、円安による輸入原料の価格上昇などが本格化するとみられている。

他方でコスト低下を見込んでいるのが販売管理費と税金。企業自身の経費節減努力に加え、復興特別法人税廃止や投資減税などが織り込まれている。(中川泉 編集:石田仁志)

 
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