補助金不交付
2013年12月11日
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在日人権無視する愚挙
人は生まれながらにして自由で平等であり、幸福を追求する権利を持つ。つまり自分らしく生きたいと願う権利は、誰にも侵すことのできない人類普遍のものだ。川崎市の福田紀彦市長はその権利を侵す判断を下した。表明した朝鮮学校への補助金不交付は人権意識の欠如をさらし、誰もが自分らしく生きられる地域社会づくりという首長の責務を放棄するも同然だ。
学ぶ権利、それは自分らしく生きるため保障されているものにほかならない。日本人の子どもは日本の言葉と文化、歴史を当たり前に学ぶ。同様に、いかなる民族に対してもその権利は守られなければならない。
朝鮮学校への補助金はそうした当然の権利擁護のための役割を担う。それを不交付とした判断が意味するものは、朝鮮学校で行われてきた民族教育自体の否定、朝鮮人が朝鮮人として生きることの否定である。
市長は補助金自体に「特別な感じなものがなぜあるのか」と疑問を呈した。しかし、恩恵でも「特権」でもないことは歴史に明らかだ。
朝鮮学校は日本の植民地支配によって奪われた民族の言葉と文化を取り戻すために始まった。その回復は奪った側によってなされるべきなのに、政府は責任を果たさないばかりか、在日が立ち上げた学びやを不当に扱ってきた。高校無償化の対象から除外したのもその一例だ。
自治体による補助金制度は不十分ながら、国の不作為を補うものとしての意味を持つ。地域社会の一員として在日が暮らす実情を踏まえた判断でもあった。それなのに市長は不交付の理由に県が補助金を打ち切ったことを挙げ、市の施策の独自性と自主性を自ら否定し、放棄した。
在日2、3世の親たちは振り返る。自分が通った日本の学校では差別を恐れ、出自を隠し日本人のように振る舞った。それは親を否定することでもあった。わが子にはそんな悲しい生き方をしてほしくない。朝鮮学校に学び、朝鮮人としての自分を肯定的に受け止めてほしい-。
補助金不交付は、在日は権利を損なわれても構わない存在だと公言したに等しい。市長は施政方針演説で「川崎を日本一幸せのあふれるまち、『最幸(さいこう)のまち』にする」とうたい、シンボルの一つに「子どもたちの笑顔」を挙げた。そのビジョンの空疎さを在日へのまなざしが証明している。
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