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【愛知】

愛教大の酒向さんが火山跡発見 筆頭著者で論文発表へ

玄武岩の岩脈を発見し論文をまとめた酒向和希さん=刈谷市の愛知教育大で

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 刈谷市の愛知教育大修士課程一年の酒向(さこう)和希さん(23)が、長野県南部の天竜川流域で大昔の火山の痕跡を発見した。日本地質学会が今月末に発刊する「地質学雑誌」で、筆頭著者として論文を発表する。学生が全国的学術誌の論文で筆頭著者になるのは異例。指導する星博幸准教授は「若者のやる気につながる」と喜ぶ。

 酒向さんは、中学校の理科教諭を志望。修士課程に進み、地学を専攻している。今年四月、国内最大の断層「中央構造線」を調べるため長野県阿南町を訪れた際に、標高四〇〇メートルの山中で幅八十五センチ、高さ三メートルの岩脈を発見。サンプルを持ち帰って調べ、玄武岩と確認した。

 玄武岩は溶岩の通り道に生じるもので、その場所で火山活動があった証しになる。含まれる放射性元素で年代を測った結果、千三百五十万年前に生成されたものと分かった。

酒向さんが発見した玄武岩の岩脈=長野県阿南町で

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 星准教授によると、当時は日本列島の原型ができた時代で、火山活動が活発だった。これまで阿南町周辺に火山があったという学説や文献はない。今回の発見により、瀬戸内海から設楽町まで続く瀬戸内火山帯が、東に数十キロ延びる可能性があるという。

 スケールの大きさにひかれて地学に興味を持った酒向さんは「地学は、あまりメジャーでない。研究したことを生かして、子どもたちに魅力を伝えたい」と意気込む。星准教授は「道のない山奥を歩き回った結果の新発見。頑張れば報われることを若い世代に知らせたい」と話している。

 (岡村淳司)

 

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