2013年12月9日13時18分
文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は9日、東京電力福島第一原発事故による国の避難指示が長期化し、事実上帰還できない住民に、支払い済みの慰謝料とは別に東電が一括で支払う案を示した。支払額は250万~650万円の間とした。今後の議論で金額を確定させる。事実上、最後の慰謝料とする考えだ。
審査会は年内にまとめる追加指針に「長年住み慣れた地域に住めなくなった精神的苦痛に対する賠償」などとして盛り込む方針だ。
対象は避難指示解除の見通しが立たず、本格的な除染やインフラ復旧計画がない地域の住民。(1)帰還困難区域(年間放射線量が50ミリシーベルト超)の約2万5千人、(2)同区域が町の大半を占める大熊、双葉両町の居住制限区域(年20ミリシーベルト超~50ミリシーベルト)と避難指示解除準備区域(年20ミリシーベルト以下)の約600人を想定している。
従来の慰謝料は避難者1人につき月10万円。帰還困難区域の住民は2012年6月から5年分の600万円、居住制限区域では2年分の240万円を一括で受け取っている。避難指示解除準備区域では1年分の120万円を一括で、13年6月以降は3カ月ごとに受け取っている。審査会は(1)については、現時点で支払い済みの分までで慰謝料を打ち切る考えだ。
それ以外の住民には避難指示解除後1年まで慰謝料を支払うが、総額が帰還できない人を超えれば1年未満でも打ち切るという。
審査会はまた、長期避難者が移住先で住宅を取得したときに東電が支払う賠償の上乗せなどを盛り込んだ追加指針案も示した。
新居の購入費用から、家屋の事故前の価値を差し引いた額の50~75%を上限に、元の家屋の賠償額に上乗せする。土地も元の宅地より高額の場合、不足分の半額以上を上乗せする。
避難者1人当たり月額10万円の慰謝料は、国が避難指示を解除してから1年間は支払いを続ける。
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